厚生労働省Webサイトにある、平成28年4月改正/障害者雇用促進法のページに、合理的配慮指針の事例集がアップされていますが最近それが第三版に改定されたようです。
合理的配慮指針事例集(PDFファイル)
事例集は障害類型別に記載されており、それぞれの障害類型について、採用時の事例と採用後の事例が紹介されています。
紹介されている障害類型は、視覚障害、聴覚・言語障害、肢体不自由、内部障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病に起因する障害、高次脳機能障害の9類型です。
障害類型ごとに、採用時の事例と採用後の事例に分けて配慮の内容を紹介しています。
そして、配慮の内容(業務遂行上の工夫や就業環境の整備)ごとに小見出しがついており、障害特性に基づいた配慮の必要性が説明された後に、具体例(実際に行われている事例)が紹介されています。
他社の事例を参考することで、現在在籍している障害者に対して、より有効な対策を講じることができるかもしれません。
また、これまで自社で雇用したことのない障害類型についても、事例を検討することで今後採用できる見通しが立つ可能性があると思います。
今後、自社の障害者雇用政策を検討する際に活用されてみてはいかがでしょうか。
日本年金機構Webサイト/人工透析を行っている方へ
日本年金機構のWebサイトに、人工透析を受けていることで障害厚生年金の障害認定をされた方に向けたページが、公開されています。
人工透析患者は、原則として障害等級2級で認定(平成14年3月以前は原則として3級)されているところ、3級で認定された障害厚生年金受給権者を個別に調査した結果、2級で認定すべき事案があった(6497人中26人)とのことです。
また、症状、検査結果、日常生活の状況によっては、障害等級1級に認定されることもあると、このページでは指摘しています。
障害等級の認定に問題があった可能性があるということですので、人工透析を受けている方で、障害等級2級、または3級の方、さらには障害等級に該当しないとされ現在年金を受けてない方は、一度年金事務所に相談に行かれるとよいと思います。
障害者差別解消法が平成28年4月から施行されます。
内閣府のWebサイトには、この法律の立法趣旨が次のように述べられています。
国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)が制定されました(施行は一部の附則を除き平成28年4月1日)。
国連の条約締結に向けた法整備の一環で、障害者差別解消の推進を目的とする法律のようです。
なぜこれをブログで取り上げたのかというと、厚生労働省のWebサイトにこの法律の対応指針が紹介されていて、その中に社会保険労務士業向けの対応指針(PDF)があったからです。
社会保険労務士業を営むにあたり、役務の提供を受ける方(=依頼者)に対して留意すべきことが書かれています。この内容は他の業務でも一般的に当てはまる部分が多くあるように思います。同業者に限らず、目を通してみると参考になる点があるように感じました。そこで簡単ではありますが、その内容をご紹介しようと思います。
対応指針の中には、不当な差別的取扱いの禁止と、合理的配慮について詳しく説明されています。
1)不当な差別的取扱い
「正当な理由がなく」、「障害を理由として」、役務の提供を拒否したり、役務提供の時間・場所等を制限したり、条件を付すことを禁じています。
正当な理由と言えるかどうかは、「客観的」に判断できるものでなければならないとしています。つまり、主観的な理由ではなく、第三者から見ても納得できる具体的な理由が必要ということです。
2)合理的配慮
障害者から社会的障壁の除去についての要請を受けた場合に、障害がない者と同等の役務が受けられるように、本来業務に付随して行う配慮のことで、その負担が加重でないものを合理的配慮というようです。
そして、不当な差別的取扱い、合理的配慮の具体例も記載されています。
合理的な配慮の例として、セミナーで手話通訳者を用意するというものがありました。最初にこの事例に触れたときには、これは費用負担が過重なのではないのかな、、、と思い、費用を調べてみたところ、ある団体では2時間で1万円程度でした。これくらいの負担なら、私だったら過重とは感じませんでしたが、これを読んでいる皆様はどう感じられるでしょうか?
具体例についての解釈は、絶対的なものではなく、状況によってその解釈が変わるようです。それぞれどういう場合に不当な差別になるのか、合理的配慮を超えた過重な負担になるのか、考えてみるのもよいと思いました。
昨日に続いて、今日(といっても既に日付が変わりましたので正確には昨日)も、厚生労働省から重要なプレスリリースがありました。
厚生労働省は、改正障害者雇用促進法に基づく「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(障害者差別禁止指針)と、「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」(合理的配慮指針)を策定し、25日に告示しました。平成28年4月からの施行を予定しています。
中途障害の場合の合理的配慮に関して関心があったのですが、その点については合理的配慮指針第4-1-(2)-ロに記載がありますので、引用します。
中途障害により、配慮をしても重要な職務遂行に支障を来すことが合理的配慮の手続の過程において判断される場合に、当該職務の遂行を継続させること。ただし、当該職務の遂行を継続させることができない場合には、別の職務に就かせることなど、個々の職場の状況に応じた他の合理的配慮を検討することが必要であること。
例えば、精神疾患で休職をしている労働者が、休職期間中に「(精神)障害者」と認定された場合、原職復帰ができないために直ちに復職を認めないという判断は、難しくなると思います。