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【東京商工会議所】2018年度 中堅・中小企業の新入社員の意識調査結果について

東京商工会議所で、同所の「新入社員ビジネス基礎講座」を受講した新入社員を対象にした調査の結果が公表されました。

【東京商工会議所】2018年度 中堅・中小企業の新入社員の意識調査結果について

今回は、この調査結果の内容を確認し、中堅中小企業の採用に必要なことを私なりに考えてみたいと思います。

1 回答者のプロフィール(n = 1,047)
学歴(多い順から3つ):文系大卒 46.0%,高卒 15.8%,理系大卒 14.9%
就職先の企業規模(資本金額・多い順から3つ):1000-5000万円 41.2%,5000万-1億円 26.2%,1億-10億円

2 アンケート結果
就職活動で苦労したこと:自分のやりたいことがわからず悩んだ、スーツや交通費に予想以上にお金がかかった、説明会や面接の日程・時間の調整 但し、日程・時間調整は前年に比べて16%あまり減少した。

インターンシップへの参加:「参加した」44.9%だった。就職先の資本金額が多くなるほど参加割合は高くなり、10億円以上で56.8%、1-10億円で49.7%が参加した。

以下は、多い順から3つをそれぞれピックアップしています。

就職活動の開始時期:3月末以前33.0%,2月末以前16.8%,5月末以前13.1%

内定時期:昨年の7月末以前25.7%,昨年の12月末以前23.5%,昨年の9月末以前20.6%

内定数:2社以上内定を受けた者の割合:41.1%,大卒文系では56.5%,大卒理系44.8%

入社した会社を知った経緯:求人サイト37.9%,学校就職部17.9%,知人の紹介12.4%

入社した会社を選んだ理由:仕事の内容が面白そう46.7%,職場の雰囲気が良かった35.2%、自分の能力・個性が活かせる34.6%

社会人生活を送ることで感じる不安:「仕事と生活のバランスがとれるか」53.1%、「上司・先輩・同僚とうまくやっていけるか」52.6%、「仕事が自分にあっているか」47.8%

3 アンケート結果から言えること
就職活動で苦労したことの第一位が「自分のやりたいことがわからない」というものであり、入社した会社を選んだ理由の第一位が「仕事の内容が面白そう」であったことに留意する必要があります。月並みな意見なのかもしれませんが、採用活動で学生に伝えるべき一番の内容は、やはり自社の業務内容やその業務のやりがいということになるのだと思います。

但し、新入社員が社会人生活を送ることで感じる不安として、「仕事と生活のバランスがとれるか」、「上司・先輩・同僚とうまくやっていけるか」を挙げている点を、会社は正面から受け止めるべきでしょう。前者は長時間労働、後者はハラスメントという、まさに近年の労働問題を代表しています。会社は業務内容や入社後のキャリアを分かりやすくアピールするとともに、適切な労務管理を実践することと、その実践内容を学生に伝えることが、よい人材を獲得するために必要だと示唆しているのではないでしょうか。

業務内容や今後のキャリアについては、学生がアクセスしやすい情報である求人サイトなどで分かりやすくアピールすることが効果的でしょう。その際、学生が就職活動の情報収集を始めるタイミングを参考にして、適切な時期に情報発信することが重要です。一方、適切な労務管理を実践し、安全で快適な職場であることを学生に伝えるためには、くるみんマークユースエールなどの国の認定制度や、社労士会が推奨する経営労務診断サービスを活用することが有効であると考えます。

中堅中小企業の採用時期は、大手企業と比較すると長丁場であるという印象があります。そして学生が複数社の内定を獲得している場合が少なくないことを考えると、中堅中小企業の採用活動はやはり厳しいと言えるでしょう。学生の動向を正確に把握するとともに、魅力ある職場を作り上げ、発信するという地道な活動を続けることが、採用活動を成功に導く鍵であると考えます。

「スタートアップ労働条件」

厚生労働省が新しいサイトの運営を始めました。

ポータルサイト「スタートアップ労働条件」を11月1日に開設します

事業場の労務管理、安全衛生管理の状況を自己診断するためのツールが提供されました。新規創業した事業場を主な対象としているようですが、もちろん全ての事業場について利用できますし、利用する価値もあると思います。

診断は、6つのカテゴリから構成され、合計で40問の質問に答えることによって行われます。6つカテゴリは次の通りです。

1.募集・採用、労働契約の締結(5問)
2.就業規則・賃金・労働時間・年次有給休暇(10問)
3.母性保護・育児・介護(8問)
4.解雇・退職(7問)
5.安全衛生管理(5問)
6.労働保険・社会保険、その他(5問)
そして、各設問ごとに、「赤」「黄」「緑」「白」のいずれかの判定をされます。それぞれの標語は次の通りです。

赤:重大な問題点
黄:比較的軽微な問題点
緑:確かめるべき点
白:問題点は含まれていない

赤と黄の判定が出た設問については、改善が必要でしょう。特に赤の判定については直ちに改善が必要だと思います。一方、緑については法違反はないものの、運用に注意を要する点があることを示しているようです。

私は以前から、中小企業診断士として創業相談を受けることがあった際は、必ず労務管理・安全衛生管理・社会保険の適用について十分注意するように助言していたこともあり、こういうツールができたことをうれしく思います。新規創業の事業場以外でも積極的に使ってほしいと思います。

そして宣伝になってしまうのですが、自主点検にとどまらず、第三者から客観的に労務管理の状況を診断してもらい、それを対外的にアピールしたいとお考えの方は、ぜひ経営労務診断サービスをご活用ください。
このサービスを使うことで、人材採用を有利に進めることができると思います。