女性活躍推進法/事業主行動計画策定指針(2)

女性活躍推進法の事業主行動計画策定指針について、引き続き説明します。

女性活躍推進法の特設Webサイト
事業主行動計画策定指針

前回のブログでは、計画を策定する必要性について述べてきました。今回は、計画策定のプロセスのうち、
1.体制整備
2.状況把握・課題分析
について述べます。なお、計画の策定自体は常時雇用する労働者が300人を超える事業主が対象です。300人以下の事業主は努力義務にとどまります。

1 体制整備
このような取組につきものの、組織のトップによるメッセージの発信、トップの関与、専任の担当者の配置、継続的な実施を支える組織体制整備が求められています。

実施組織の構成員としては、非正規労働者を含んだ、幅広い層から登用することが望ましいようです。両性が関わり、労働組合にも参画するような、委員会を設けることが効果的であるとしています。

また、状況把握について、法で求められている項目が数値である一方、アンケートやヒアリング等で量的な項目以外の質的な内容も把握するよう努めることが重要であると指摘しています。

2 状況把握・課題分析
(1)状況把握・課題分析の意義
前回のブログでご説明した通り、女性活躍推進法は、非正規雇用を含めた、あらゆる働き方をしている全ての女性が個性と能力を十分に発揮できることを目指している法律です。
そのことから、状況把握をする際にも、雇用管理が異なることでそれに伴い実態が異なる場合は、雇用管理区分ごとに状況把握・課題分析を行うことが必要である点に注意が必要です。

(2)状況把握・課題分析の項目
必ず把握すべき項目は次の4項目です。(計算方法は省略。こちらのパンフレットの5ページから7ページをご確認ください。)
1.採用した労働者に占める女性労働者の割合(雇用管理区分ごとに把握)
2.男女の平均継続勤務年数の際(雇用管理区分ごとに把握)
3.労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況
4.管理職に占める女性労働者の割合

これらの項目は、厚生労働省が「女性の活躍に向けた課題の中でとりわけ多くの企業に該当する」(前掲パンフレットp5)課題と認識しているようです。

任意に把握すればよい項目は、次の21項目です。
1.男女別の採用における競争倍率(雇用管理区分ごとに把握)
2.労働者に占める女性労働者の割合(雇用管理区分ごとに把握、派遣労働者を含めて把握)
3.男女別の配置の状況(雇用管理区分ごとに把握)
4.男女別の将来の人材育成を目的とした教育訓練の受講の状況(雇用管理区分ごとに把握)
5.管理職や男女の労働者の配置・育成・評価・昇進・性別役割分担意識その他の職場風土に関する意識(雇用管理区分ごとに把握)
6.10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合(雇用管理区分ごとに把握)
7.男女別の育児休業取得率及び平均取得期間(雇用管理区分ごとに把握)
8.男女別の職業生活と家庭生活との両立を支援するための制度(育児休業を除く)の利用実績(雇用管理区分ごとに把握)
9.男女別のフレックスタイム制、在宅勤務、テレワーク等の柔軟な働き方に資する制度の利用実績
10.労働者の各月ごとの平均残業時間等の労働時間の状況(雇用管理区分ごとに把握、派遣労働者を含めて把握)
11.管理職の各月ごとの労働時間等の勤務状況
12.有給休暇取得率(雇用管理区分ごとに把握)
13.各職階の労働者に占める女性労働者の割合及び役員に占める女性の割合
14.男女別の1つ上位の職階へ昇進した労働者の割合
15.男女の人事評価の結果における差異(雇用管理区分ごとに把握)
16.セクシュアルハラスメント等に関する各種相談窓口への相談状況(雇用管理区分ごとに把握、派遣労働者を含めて把握)
17.男女別の職種又は雇用形態の転換の実績(雇用管理区分ごとに把握)
18.男女別の再雇用又は中途採用の実績(雇用管理区分ごとに把握)
19.男女別の職種若しくは雇用形態の転換者、再雇用者又は中途採用者を管理職へ登用した実績
20.男女別の非正社員のキャリアアップに向けた研修の受講の状況(雇用管理区分ごとに把握)
21.男女の賃金の差異(雇用管理区分ごとに把握)

なお、任意の項目ということですので、これらの指標以外に、企業独自の指標を作って状況を把握することも推奨されています。

計画を作る前に、状況を正確に把握することは非常に重要です。いわゆるPDCAサイクルというと、最初にいきなり計画(Plan)を作るということになりますが、この法律では、Planの前に状況分析をすべきとしています。この点は、もっと評価されてよいように思います。

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