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【読書】「偶然とは何か――その積極的意味 」

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確率や統計には全く疎く、一部数式などの理解はできなかったのですが、大変興味深く読み進めることができました。
大数の法則などに代表される統計的処理では、ある特定の集団に起こる特定の出来事について、それが出現する確率を予測でき、その結果リスクを適切に管理することができるとされています。一見すると人間が偶然を支配できるかのように考えることもできます。
しかしながら、大きな数を取り扱う場合の傾向をつかむことはできても、自分がある特定の出来事(良いことも悪いことも)に遭遇しない保証はなく、偶然という現象から逃れることはできないと著者は言います。そして、そのような偶然を逃れる術のない、仕方のないものとして捉えるだけでなく、偶然とは何かを学び、生きていくに当って積極的に偶然というものに向き合うことの重要性が語られています。
例えば、不幸にも悲しい出来事に遭遇した人がいる場合、周囲が慰めることで起こる出来事は避けることができなくても、その人の不幸を少しでも他の人が背負って、苦しみを和らげてあげるといったことができるのではないかと説明しています。
また、破滅的な出来事(例えば原発事故)は、決して起こってはいけないものなので、発生する確率を計算して万が一に備えることには意味がなく、確率の乗法法則と呼ばれる手法で、発生する確率をそれが無視できる程度にまで、限りなくゼロにする必要があると説きます。
確率や統計といったものは、とかく冷徹な領域の学問であるという印象を持っていましたが、この本はそうではなく人間が生きるために必要な考え方を提示してくれたように感じました。とても温かみを感じる不思議な読後感を味わっています。
<読書データ>
著者:竹内 啓
出版社:岩波新書(新赤版)