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労働保険

兼業する労働者の労災保険給付について

【NHK】労災保険 副業・兼業で過労の場合の仕組み 厚労省が検討

複数の使用者と雇用契約を締結し、労働している労働者が労働災害に被災した場合の労災保険給付について、厚生労働省が見直しを検討し始めたようです。

労災保険給付には、治療費のような医療サービスを現物で支給するものと、被災事業所から受け取った賃金に基づき休業、後遺障害、死亡の際に給付される現金給付の二種類があります。今回は、後者の現金給付について見直しをすると報道されています。そして見直す理由についてもNHKの報道で紹介されています。

現金給付の額は、過去3か月間の平均賃金を基に決まるのですが、その際の賃金とは、被災事業場の使用者から受け取った賃金だけです。複数の使用者から賃金を受け取っていても、被災事業場以外の使用者からの賃金は給付額に反映されません。複数事業場で労働する労働者のなかには、一つの事業場だけの賃金では十分な生活ができない方がいるでしょう。被災労働者にとって、現行の制度では補償が不十分になってしまいます。

このことは、働き方改革に伴って厚生労働省で作成された副業・兼業の促進に関するガイドラインでも同様に指摘されています(兼業・副業に関する厚生労働省のWebサイトはこちら)。

制度の見直しの方向性については具体的に報じられていませんが、被災労働者にとって有利な見直しになでしょう。手続きが適法に行われていれば、被災していない事業場から受け取る賃金についても労災保険料は徴収されているからです。保険料を徴収している以上、保険給付をそれに応じたものにするという考え方は自然です。今後の見直しの方向性に注目したいと思います。

なお、ガイドラインにもあるとおり、一つ目の使用者から二つ目の使用者の事業場へ移動する途上で被災した場合、二つ目の事業場の保険関係にもとづき、通勤災害として取り扱います。ご参考にして頂ければと存じます。