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労働政策

女性活躍推進法/事業主行動計画策定指針(4)

女性活躍推進法/事業主行動計画策定指針についての、第4回目のブログです。

女性活躍推進法の特設Webサイト
事業主行動計画策定指針

第1回目では、女性活躍の意義や課題、第2回目では、組織体制の整備と状況把握・課題分析、第3回目は計画の策定から公表までについて述べました。
今回は計画の推進、情報公表について書いていくことにし、この法律に関する説明を締めくくりたいと思います。

1 計画の推進
計画を立てた後は、それを実施していくこととなります。取組自体は行っていくこととなりますが、計画に織り込んだ目標については、達成する努力義務が課されているにとどまります(法第8条6項)。目標であって必達のノルマではないということです。
計画の推進は、計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)のマネジメントサイクルを運用し、労使が協調して取組んでいくことが求められています。

また、取組時状況が良好な場合は、「認定制度」により取組状況をアピールできるようです。認定基準(PDFファイル)は三段階で設定されています。「三ツ星」や、「金銀銅」といったイメージなのでしょうか。次世代法で、「くるみん」、「プラチナくるみん」マークが設けられていますが、それに似たようなものになるのでは?と思っています。

2 情報公表
計画の公表とは別に、情報公表の規定も設けられています(法16条)。
公表項目は4つのカテゴリに分けられています。採用、継続就業・働き方改革、評価・登用、再チャレンジ(多様なキャリアコース)の4つです。

(1) 採用
・採用した労働者に占める女性労働者の割合(雇用管理区分ごとに把握)
・男女別の採用における競争倍率(雇用管理区分ごとに把握)※
・労働者に占める女性労働者の割合(雇用管理区分ごとに把握、派遣労働者を含めて把握)

(2) 継続就業・働き方改革
・男女の平均継続勤務年数の差異 ※
・10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
・男女別の育児休業取得率(雇用管理区分ごとに把握)
・労働者の一月当たりの平均残業時間 ※
・労働者の一月当たりの平均残業時間 (雇用管理区分ごとに把握、派遣労働者を含めて把握) ※
・有給休暇取得率

(3) 評価・登用
・係長級にある者に占める女性労働者の割合
・管理職に占める女性労働者の割合
・役員に占める女性の割合

(4) 再チャレンジ(多様なキャリアコース)
・男女別の職種又は雇用形態の転換実績 (雇用管理区分ごとに把握)(派遣労働者については雇入れの実績)
・男女別の再雇用又は中途採用の実績 ※

※の項目については、「状況把握」項目と計算方法が違いますので、注意してください。詳細は、パンフレットp29を確認してください。

情報公表は、計画の公表手続と同様に、自社のWebサイトや国が運営する「女性の活躍・両立支援総合サイト」に公表します。

なお、未確定の情報ですが、「女性の活躍・両立支援総合サイト」で公表されたデータは、ダウンロードが可能になるようです。ベンチマークとなるようなライバル企業のデータとの比較や、平均値や標準偏差といった基本統計量の算出を通じた自社とのデータ比較が可能になれば、人事管理を行う上で、有用な情報となるでしょう。

3 締めくくりとして
近年、企業に行動目標を計画させて、その達成を促すような法律が色々成立しています。国が最低基準や、措置義務を課して一律の対応を求めるような法制度に加え、国が大きな枠組みとして達成すべき事項のみを定め、詳細は企業の状況に応じた自主的な取り組みを促すという制度が増えつつあると実感しています。次世代法がその端緒であったと思いますが、女性活躍推進法、青少年雇用促進法や、改正安衛法の化学物質のリスクアセスメントでも取組内容自体は企業に委ねるという施策が講じられています。

私たち社会保険労務士の仕事も、単に法規制に精通しているだけではなく、法の趣旨を的確に理解し、企業の実情を踏まえた適切な目標を設定し、マネジメントサイクルの管理を通じて適切なアドバイスをする能力が、今後一層求められているように感じます。