経営労働政策特別委員会報告

日本経団連編『2016年版経営労働政策特別委員会報告』の冊子が手元に届きましたので、目を通しました。私なりに印象に残った箇所をご紹介したいと思います。

1 春季労使交渉・協議に対する経営側の基本姿勢

2015年世界経済の成長率は2.9%にとどまったが、16年以降は徐々に高まると予想。但し、新興国経済や中東情勢など不安定要素があり、不透明感がある。日本経済について、企業業績は2015年までは好調に推移している一方、16年は成長が鈍化すると予想している。(pp70-71)

中小企業の労働生産性は、2014年度までの20年間で約1割低下している一方、労働分配率は60%台前半で一定である。今後、労働生産性の安定的な向上なしに賃金が上昇すると、労働分配率が上昇して中長期的な競争力が損なわれる懸念がある。(pp72-73)

上記の経済状況のなかで、、、

デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のため、2015年を上回る「年収ベースの賃金引き上げ」を各社に期待している。(pp77-78)

そのためには、一律のベースアップに限らない、各社の実情・労務管理の課題に応じた賃上げ方法を検討すべきである。具体的には、特定の世代への重点的なベースアップ原資の配分、賞与の増額、次世代育成のための手当や福利厚生の充実などの方法がある。(pp78-79)

2 その他

人事労務管理の課題として、女性・若年者等に特に注目したダイバーシティ経営、過重労働防止と健康経営、仕事と介護の両立支援が取り上げられている。(pp1-23)

特に、過重労働防止については、労基法改正法案に触れ、(ア)現状で猶予されている50%以上の割増率を中小企業への適用、(イ)使用者の責任で年5日の有給休暇を取得させる措置、(ウ)管理監督者を含む労働者全員に対し、健康保確保を目的とした労働時間の把握といった施策を、「働き過ぎ防止は社会的要請であり、経済界としては、法改正に向け率先して対応を図っていきたい。」とし、肯定的にとらえている。(pp31-32)

日本経団連はホワイトカラー職種のような、労働時間に比例して生産高が上がっていくとは限らないような業務について、かねてから現行の労働時間規制とは別の取り扱いを望んでいることはご存知のことと思います。
その実現のために、健康管理については積極的に取り組む必要があると考えているのでしょう。

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