50年後のガストアルバイター(JILPT海外労働情報)

労働政策研究・研修機構の海外労働情報に興味深い記事がありましたので、紹介します。

50年後のガストアルバイター -WSI調査
ドイツでは、第二次大戦後の労働力不足に対応するため、複数の国と二国間協定を締結し、ガスト(客)アルバイター(労働者)と呼ばれる外国人労働者を受け入れました。
彼らは建設現場や工場のライン工として働くことが多かったそうで、「ガスト」が示す通り、当初はさほど長くない期間で本国へ戻るものとされていたようです。
このレポートによれば、帰国せず残留したガストアルバイターの多くは、ドイツ人が嫌がる仕事を担い、それによってドイツ人は社会的な昇進を果たすことができたようです。
ガストアルバイター自身は、少なくとも当初は短期間で稼ぎ、本国で成功者として帰国することを意識していたようですが、そうでない者も少なからずいました。ガストアルバイターが短期間の労働で帰国しなかった理由や、どれくらいの割合の者がドイツに残留したのか、このレポートでは判然としませんが、残留した多くの者は高齢になり、貧困問題が浮上しているそうです。

そしてWSIはこう結論づけています。
「移住政策を経済政策上の目的で利用しようとする者は、前提となった経済問題が忘れ去られた後も、政策の影響が当事者や社会で存在し続けていることを熟慮すべきである」
人間の寿命は80年近くになるわけですから、当然といえば当然の結論なのかもしれません。移民を受け入れるということの重みや難しさを感じました。
移民を受け入れる動機として、経済的な問題を挙げることは否定しませんが、同時に長期の問題を抱えることは考慮にいれるべきなのだろうなと思います。相手は生身の人間なわけですから。
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