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海外進出のブログ記事
厚生労働省から、平成27年12月から協議が続いていたスロバキアとの社会保障協定が、合意に至ったと報道発表されました。

日・スロバキア社会保障協定(仮称)交渉における実質合意

社会保障協定の意義を改めて挙げると、

  1. 社会保険の二重加入の回避
  2. 年金加入期間の通算
の2つです。社会保障協定がないことで生じる問題、および協定締結による具体的な効果に関しては、下記のURLをご覧頂ければと存じます。


このページには、既に協定が締結されている国、交渉中の国といった、協定の進捗状況についても記載されています。協定が発効済みの国は16ヵ国、協定署名済みの国は3ヵ国などとなっているようです。日本人の海外駐在員の数にとらわれず、今後も進捗が期待できる国とは積極的に交渉を行ってほしいと思います。

ところで、イタリアとは協定に署名してから随分時間が経っているのにまだ発効に至っていないこと、中国との交渉が長く続いていることは気になりますね。なんとかうまく物事が進んでもらえればと思います。
中国現地法人の総経理として派遣されていた方の死亡について、労災保険給付の不支給決定の取消が認められなかった事例が判例雑誌に紹介されていました。

中央労働基準監督署長事件(H27.8.28 東京地裁判決、労働経済判例速報67巻5号 通算2265号 pp3-16)

労災保険は本来、日本国内に所在する事業に関し、業務上又は通勤による負傷、疾病、障害、死亡等に対して保険給付を行う制度です。
従って、日本国内で事業を行う事業主が、海外において行われる事業に従事させるために労働者を派遣する場合、その派遣された労働者は、本来的には派遣先国の諸制度によって保護されるべきところですが、必ずしも当該国で日本の労災保険のような制度が整備されているとは限りません。
そこで、労災保険制度では、海外の事業に従事するために派遣される労働者について、事業主が申請し、国が承認することで特別に労災保険に加入を認めるという、特別加入制度を設けています。

もっとも、日本国内の事業に従事する者が、海外出張中に事故に遭った場合は、特別加入制度の適用をするのではなく、本来の労災保険制度によって救済されることとなっています。

今回の事例では、死亡した方に関して特別加入手続きをしていませんでした。国内事業に従事する「海外出張者」であれば、手続をしていなくても保険給付されますが、海外の事業に従事する「海外派遣者」であれば、特別加入が国によって承認されていないと、労災保険から保険給付を受けることができません。死亡された方が、「海外出張者」か「海外派遣者」かのいずれに該当するかが争われたのが今回の事例です。

裁判所は、その判断枠組みとして、次のように判示しました。

期間の長短や海外での就労に当たって事業主との間で勤務関係がどのように処理されたかによるのではなく、当該労働者の従事する労働の内容やこれについての指揮命令関係等当該労働者の国外での勤務実態を踏まえ、いかなる労働関係にあるかによって総合的に判断すべきである。(p14)

そして、今回の事例について
  1. 現地法人が、場所的に本社から独立して存在していること
  2. 現地法人の法的地位ないし権能、活動の実態が、独立した事業場として評価するに値すること
  3. 現地法人での、死亡した者の地位、業務内容が、現地法人の業務に従事していたといえること
の主に3つを検討しています。

1については、現地法人が中国に所在するため、場所的に独立していることは明白です。2については現地での活動拠点としての実態を有しており、決裁権限に内部的な制約はあったようですが、これは国内の独立した事業所でも同様であるので、独立性を否定しないと判断しています。3についても、死亡された方は、中国国内の営業活動や物流管理業務に従事しており、本社が勤怠管理し、賃金を支払っていた事情はあるものの、それをもって現地法人の業務に従事していたことを否定する事情とはならないとしました。

労働者を海外へ派遣する、長期出張させるといった場合、特別加入申請の必要性の判断について、今回の事例が参考になると思います。近年、中小企業も積極的に海外へ進出していますが、特別加入制度の手続きに遺漏がないよう、ご注意頂く必要があるでしょう。

なお、海外派遣者に係る特別加入については、海外の事業に労働者として従事する場合だけでなく、中小規模の事業であれば「役員」として従事する場合も申請が可能です。
詳しくは、厚生労働省のパンフレットをご覧ください。






新潟日報モアに、味噌製造業者の海外進出についての記事が掲載されていました。

平成25年12月に、「和食;日本人の伝統的な食文化」が、ユネスコの無形文化遺産に登録されたのはご存知の方も多いと思います。食品関係の業界だけでなく、観光業界等でも注目されているようです。

この会社の場合は、国内での消費が伸び悩む中、和食の無形文化遺産登録を契機に、海外の見本市に味噌を出品してみたところ、欧州で手ごたえがあったとのことです。既に卸売先が決まった国もあるようです。

また、日本国内向けの対応として、発酵食品や野菜の直売所、農家レストランを運営し、併せて味噌工場も併設するようです。

海外展開のさらなる進展という観点で考えると、今後以下のような対応をすることで、一層の効果が見込めるのではないかと考えてみました。

  1. 卸売先と協力して、販売先の現地向けに味噌を使ったレシピをWeb等で紹介する。
  2. 卸売先の担当者を国内の直売所、レストランへ招待して、SNS等で自社の製品を楽しい雰囲気で紹介してもらう。
現地向けの味噌の使い方を積極的に提案すること、そして、その味噌が実際にはどのようにして製造され、消費されているのかを紹介することによって、欧州の消費者の関心を集め、消費を喚起することができるのではないかと考えます。