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経営戦略のブログ記事
本年7月1日より施行された、中小企業等経営強化法に基づき、「経営力向上計画」の受付が始まっています。2ページの申請書で、固定資産税の軽減措置や金融支援が受けられる制度です。


既に認定された企業もいくつか出てきているようです。今回はこの制度について概要を紹介したいと思います。

1 中小企業等経営強化法の概要
企業の生産性向上、ひいては経営力向上のために、(1)事業分野の特性に応じた支援として、「基本方針」、および各事業分野に精通した専門家による経営のベストプラクティスを記載した「事業分野別指針」を策定し、(2)「経営力向上計画」を作成した中小企業・小規模事業者に対して、税制優遇、金融支援を行うこととしています。

2 経営力向上計画の概要
 事業分野別指針(該当する事業分野に分野別指針がない場合は、基本指針)を参考にしながら、以下の内容を申請書に記載することで、計画を作っていきます。

(ア)現状認識
自社の事業概要、および自社の内部的な経営環境(強み・弱み)、外部的な経営環境(ビジネスチャンスの到来と後退)を記載します。
(イ)数値目標
経営力向上をどのような数値で達成するのか、指標の種類、現状の数値、計画終了時の数値を記載します。
(ウ)経営力を向上させるための具体的な活動
数値目標を実現させるための具体的な活動内容を、「事業分野別指針」に沿って記載します。分野別指針がない事業の場合、基本指針を用います。
(エ)ウの実施にあたって必要な資金
資金の使途、調達方法、および金額を記載します。
(オ)ウの実施にあたって導入する設備
設備の名称・型式、単価、数量、金額を記載します。

申請様式はこちらから入手してください。

3 手続き
事業分野ごとに提出窓口が異なりますので、注意が必要です。詳細はこちらを確認してください。

申請書等を提出することになりますが、それ以外に、固定資産税の軽減措置を受ける場合は以下の書類を準備しなければなりません。第三者に依頼する必要がありますので、事前に準備が必要です。

・工業会等の証明書等、経営力向上設備等の要件を満たすことを示す書類
・さらに、リース契約で物件を超たする場合は、上記の証明書に加えて、リース見積書、リース事業協会が確認した固定資産税軽減額計算書が必要です。

4 支援内容
(1)固定資産税の軽減
 生産性が1%以上見込まれる機器及び装置のみを対象に、販売開始から10年以内かつ、取得価額160万円以上の新品を購入した場合、固定資産税が3年間半額に軽減されます。

(2)金融支援
商工中金、日本政策金融公庫による低利融資、信用保証協会の保証枠の拡大等が受けられます。


以上が、経営力向上計画の内容です。申請用紙が少なく、比較的手軽に利用できる制度ですので、設備投資の予定のある企業であれば、活用を検討してみてはいかがでしょうか。

この補助金は、平成27年度補正予算によって措置されました。「革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善」のための設備投資等を支援します。

公募期間はすでに始まっており、締め切りは4月13日です。残り1ヵ月になりました。
今回は、審査の着眼点や加点ポイントをおさらいしてみようと思います。

既に計画書の作成が進んでおられる方も多いと思いますが、ご参考にして頂けると幸いです。

1 用語の解説
(1)革新的サービス分野での申請について
中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン(PDFファイル)で示された方法、すなわち、付加価値向上の取組として、誰に(新規顧客層への展開or商圏の拡大)、何を(独自性・独創性の発揮orブランド力の強化or顧客満足度の工場)、どうやって(価値や品質の見える化or機能分化・連携orIT利活用)を検討する手法を示しています。
併せて、効率の向上のためにサービス提供プロセスの改善、IT利活用を検討する手法を示しています。
革新的サービス分野で補助金を申請する場合は、計画に上記の内、どの手法を用いるのかを明記したうえで、付加価値額や経常利益の向上を図ることを記載する必要があります。

(2)ものづくり技術分野での申請について
公募要領29頁に示された、「特定ものづくり基盤技術」(中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律第2条2項)の高度化に資する取組が求められています。
革新的サービス分野で補助金を申請する場合は、計画に特定ものづくり基盤技術を活用した、革新的な試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させる内容を記載する必要があります。


2 審査の着眼点(公募要領(PDFファイル)pp15-16,pp22-23より)
※の内容は、私の意見です。

(1)技術面
  1. 付加価値額、経常利益の増大を達成する取り組みであること(高度生産性向上型においては、投資利益率の増大)
  2. 新製品、新技術、新サービス開発の課題が明確になっており、その課題達成のための手段が具体的(例えば、必要な開発内容、材料、機械装置を明記する)で、達成目標が明らかであること。
  3. 課題の解決方法が明確かつ妥当で、優位性が認められること(※それを示すためにも、2をきちんと書く)
  4. 事業計画達成のための体制および技術的能力が備わっていること(※そのため、これまでの取組実績と、計画目標が達成されたときに獲得できる経営要素とその効果を明記する)
(2)事業化面
  1. 事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)、財務内容が、補助事業を遂行するのに十分だと期待できること
  2. 市場ニーズが考慮されていること。補助事業の成果を事業化するにあたってユーザ、マーケット、市場規模が明確であること
  3. 補助事業の成果そのものについて、価格や性能等上の強みが存在すること
  4. 事業化までの遂行方法やスケジュールが妥当であること
(3)政策面
  1. 他の企業のモデルとなりうる事業であること
  2. 国の方針(例えば賃金上昇に資する取組み)と整合性を持ち、地域経済と雇用の支援につながることが期待できる計画であること
  3. 金融機関からの十分な資金の調達が見込めること
  4. 競争力強化につながる経営資源の蓄積(例えば生産能力の向上)につながるものであること
4 加点ポイント
  1. 賃上げ等に取り組む企業であること
  2. TPP加盟国等への海外展開により海外市場の新たな獲得を目指す企業であること
  3. 現に有効な経営革新計画の認定を受けている企業であること
  4. 小規模型に応募する小規模企業者であること
(3)政策面の2にある、国の方針には、加点ポイントで示された内容が含まれているのではないかと思います。
さらに、政府が進めている政策に整合的な取組は審査で有利に働くと考えます。
例えば、女性活躍、一億総活躍(高齢者対策)、地方創生、省エネルギー・再生エネルギーへの取組などが考えられるでしょう。

『なぜ、ビジネス書は間違うのか ハロー効果と言う妄想』

非常に興味深い書籍でした。私が拙い評価をするよりも、本書のごく一部を引用した方が、良さがよく伝わると思います。経営を真面目に学びたい方にぴったりです。是非お手に取ってみてください。

ハロー効果とは、企業の全体的な業績を見て、それをもとにその企業の文化やリーダーシップや価値観などを評価する傾向のことである。一般に企業パフォーマンスを決定づける要因だといわれている多くの事柄は、たんに業績から跡付けた理由にすぎない。(p2)

どうすれば成功するのかという疑問の答えは簡単だ。これさえすれば成功するというものなどない、少なくとも、どんなときにも効果があることなどない(p244)

企業の成功は相対的なものであること、競争で優位に立つには、慎重に計算したうえでリスクを負わなくてはならないことを理解するべきだ。(p244)

企業の成功には運が大きな働きをすることを認めよう。成功した企業は「たんに運がよい」のではないし、好業績は成り行きしだいというわけではないが、それでも成功には幸運がものをいい、ときには明暗を大きく分けるのである。(p245)

おそれずにリスクを負うことも必要であり、それは腰の引けた者にはできない。その勇気を奮い立たせるのが恐怖心である。(p255)

ニッチ戦略

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うなぎコーラ、わさびラムネ、カレーラムネ、抹茶サイダーといったユニークな清涼飲料水を製造している会社を知りました。木村飲料株式会社です。

100人のうち、97,8人が美味しいという商品を作っていては、売り場と原料をおさえている大手企業に勝てないから、残りの2,3人が興味を持つような商品で勝負しようという戦略のようです。ニッチ戦略といってよいと思います。

競争地位別の戦略を、リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの4区分で説明することがありますが、この会社は、ニッチャーだと思います。ニッチャーが生き残るために必要なことには何があるのでしょうか?

マーケティングの第一人者である、P.コトラーによれば、理想的なニッチには次のような特性があるとしています。(『マーケティングマネジメント 第7版』 p398 プレジデント社)
  1. 利益が出るだけの大きさと購買力
  2. 潜在成長力がある
  3. 大手企業があまり関心を持っていない
  4. そのニッチに効果的に対応するスキルと資源を保有している
  5. 大手企業の参入を防止するだけののれん力がある
カレーラムネについては、パーティでの「罰ゲーム」の需要などがあるようですが、このような需要は恐らく大手企業が関心を持つ分野ではないように思います。そうすると、3.は該当するように思います。

また、うなぎ、わさび、抹茶といえば、静岡県の特産品です。社長が自ら公言しているように、静岡のものを使って、地域を盛り上げるという活動は、地元メーカーならではということになるでしょう。一種のブランドと言えるのかもしれません。そうであれば、5.も該当するでしょう。

そして、これが一番重要だと思うのですが、市場を特定セグメントに限定して、ニッチとして生きていくためには、1.にあるように、そのニッチ市場の規模が自社の生き残りのために充分な大きさであることが必要です。

その点、社長は市場の2,3%で必要な売り上げは十分に確保できると言っています。
つまり、県内の清涼飲料水市場シェアの2%を得られれば、生き残れる(静岡大学岳陵会 平成26年度 連携講座 第14回)としています。そうであれば、1.も満たすことになります。

この会社の決算書を見たことがないので、実際はどうなのか不明ですが、一見破天荒に見えても、したたかに経営をしているのかもなあ、、と思いました。


新潟日報モアに、味噌製造業者の海外進出についての記事が掲載されていました。

平成25年12月に、「和食;日本人の伝統的な食文化」が、ユネスコの無形文化遺産に登録されたのはご存知の方も多いと思います。食品関係の業界だけでなく、観光業界等でも注目されているようです。

この会社の場合は、国内での消費が伸び悩む中、和食の無形文化遺産登録を契機に、海外の見本市に味噌を出品してみたところ、欧州で手ごたえがあったとのことです。既に卸売先が決まった国もあるようです。

また、日本国内向けの対応として、発酵食品や野菜の直売所、農家レストランを運営し、併せて味噌工場も併設するようです。

海外展開のさらなる進展という観点で考えると、今後以下のような対応をすることで、一層の効果が見込めるのではないかと考えてみました。

  1. 卸売先と協力して、販売先の現地向けに味噌を使ったレシピをWeb等で紹介する。
  2. 卸売先の担当者を国内の直売所、レストランへ招待して、SNS等で自社の製品を楽しい雰囲気で紹介してもらう。
現地向けの味噌の使い方を積極的に提案すること、そして、その味噌が実際にはどのようにして製造され、消費されているのかを紹介することによって、欧州の消費者の関心を集め、消費を喚起することができるのではないかと考えます。

「そして、今や、ライバルはLINEなんです」と江口さんは強調します。若者にとって大事なのはコミュニケーションツール、つまり、話題になっているもの、ネタにできるものです。スナック菓子にとっては、コンビニのレジ前のドーナツと同じくらい、手頃な値段のLINEスタンプは競合品になっています。

自社のライバル製品が、思いもよらぬ分野の製品・サービスであることは、言われてみればよくわかるのですが、なかなか気づかないものだと思います。

経営学者のM. E. Porterは『競争の戦略』のなかで、業界の構造分析方法を提示しています。業界の競争状況を決定するアクターとして、
  1. 新規参入業者
  2. 同業の競争相手
  3. 代替品業界
  4. 買い手
  5. 供給業者
の5つを挙げています。よく「ファイブ・フォース分析」と言われる手法です。
ポテトチップスのライバルがLINEスタンプであるという考え方は、3の代替品が該当するでしょう。

他の業界が提供する製品やサービスが、自社の提供するものと同等の機能を満たすときには、一見まったく異なるものであっても、競合製品・サービスとなりえます。

若者にとって、「仲間内での話題を提供してくれる」という機能は、LINEスタンプであっても、桃味のポテトチップでも同じだということになるでしょう。

ファイブ・フォース分析を使ったことはないと豪語する方もいらっしゃるようですが、私は使い方次第で有用な手法だと思います。
企業の環境(内部も外部も両方)分析をする場合、私が最もよく使うのはSWOT分析ですが、外部環境分析をさらに詳しく行いたい場合は、この手法を使うことがあります。