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公的統計のブログ記事
平成28年の賃金構造基本統計調査結果が公表されました。


私も顧問先の調査票を作成するなどの関わりがあり、また、人事制度・賃金制度設計をする際にもよく利用していますので、なじみの深い調査です。

調査の内容は、労働者の性別・年齢・勤続期間・学歴といった個人属性、雇用形態・就業形態、労働日数・労働時間、所定内・所定外賃金等で、年齢別、企業規模別、学歴別、雇用形態、就業形態別に賃金・労働時間データを集計しています。

報道関係資料によると、賃金の男女格差・正規・非正規間の格差が、これまでよりも最も縮小しているとのことです(男女格差は平成9年から、雇用形態間の格差は平成17年からデータが存在しています)。
男女間格差は、これまでほぼ一貫して格差が縮小していますが、そのテンポは緩やかといってよいでしょう(調査の概況 p4)。

性別による賃金差別は労基法により禁止されていますが、実態として女性は非正規労働者の割合が高く、それが原因で賃金格差が生じているように思います。
このあたりも現在検討されている、「同一労働同一賃金ガイドライン案」によってどのように変化するのか、5年後や10年後になると思いますが、確認していきたいですね。
「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」により、全国の労働局では労働相談、助言指導、あっせんといった手続きが実施されており、毎年その施行状況が厚生労働省より公表されています。そして、平成26年の施行状況が6月12日に公表されました。

相談、指導助言、あっせんのいずれについても、「いじめ・嫌がらせ」の件数が最も多くなっているようです。
以前は、解雇が最も件数の多い内容であったと記憶していますが、最近3年間で解雇に関する件数は減ってきているの対し、いじめ・嫌がらせは相談については増加傾向にあり、また、助言指導やあっせんについては減少傾向にあっても、その減少幅は相対的に小さいため、両者の差は開きつつあるのが現状です。

これは私見ですが、解雇については経済状況にある程度依存する一方、いじめ・嫌がらせは職場の風土や雰囲気に依存するために、前者は減少傾向、後者はさほど状況が変わらないか、むしろ増加しているのだと言えるのではないでしょうか。


ところで、いじめ・嫌がらせは、別の言い方をすると、ハラスメントと言えます。ハラスメントが最初に論じられたのは、セクシャル・ハラスメントだったと思いますが、最近ではパワー・ハラスメントやその他のハラスメント概念も登場してきているのは、皆様もよくご承知のことと思います。

セクハラ・パワハラに関する法理として、人格権や職場環境配慮義務が挙げられますが、このことについて最近読んだ文献の内容を引用したいと思います。

その3として、労働者人格権や職場環境配慮義務は、主に労働者サイドの観点から形成されてきたので、仕事の厳しさとか職場の規律という視点がどうしても希薄になりがちであった。とりわけ、出発点がセクハラ事案であったので、職場規律を出すことは上司の権限を温存する機能があったのでそのような傾向はやむを得ないといえる。しかし、パワハラ事案、とりわけ教育・指導ケースについても同様な視点を打ち出すことは適切だろうか。仕事を覚えるためには、適正な、ときには厳しい指導・教育をする要請があるからである。一定の上下関係や強制は不可欠と思われる。(『多様なキャリアを考える('15) 道幸哲也,原田順子 放送大学教育振興会 (2015)pp131-132』)

セクハラとパワハラの特徴の違いを指摘し、パワハラ概念の難しい点を指摘していると思います。
仕事と全く関係のないことでの相手の人格を否定するような言動は論外としても、パワハラなのか業務指導の一環なのか判断が難しい事例は確かにあるでしょう。

様々な分野の知見を取り入れながら、教育訓練の手法を洗練させていくことと併せて、仕事を覚えてもらうことの本質を意識しながら、教育訓練をしていかなければいけないと感じた次第です。




毎年実施されている「能力開発基本調査」の平成26年分が公表されたようです。

私が興味を持ったのは次の点です。

  1. 図9、図10→OJTとOff-JTのどちらを重視するかについて、割合は大きく変わっていない(図9、図10)一方で、Off-JT費用の費用を今後3年間増やすとした企業が増えている点(図13、図14)
  2. 事業所の人材育成に関する問題は増加傾向(75.9%)で、理由として、ア)指導者がいない、イ)時間がないとしている(図34、図35)。労働者個人も同様に、自己啓発に関して問題を認識(78.4%)しており、原因として、ア)忙しい、イ)費用が掛かりすぎる(図69、図70)としている点
能力開発について、時間がないという認識は労使双方にあり、なかなか難しい問題のようです。
費用に関していえば、企業がOff-JTの予算を増やそうという動きが、労働者の自己啓発の問題の一つである、「費用がかかりすぎる」点を改善するようだと、希望が持てるのかもしれません。

企業がOff-JTに関して特に重視する傾向が強まっているわけではないことと、お金はこれまで以上に出そうとしていることの二つのことについては、あまりよく理解できないのですが、労使にとって少しでも良い方向に向かえばと思います。