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労働政策のブログ記事
本日(2016年8月31日)より厚生労働省が頭書のサイトの運営を始めました。


平成25年4月1日より有期契約労働者の無期転換制度が導入されました。5年を超える期間にわたって有期労働契約を反復更新した場合、労働者の申し出により労働契約期間が無期限になるという制度です。
無期転換権が最初に生じるとされる平成30年4月1日まで、残された期間は1年7ヵ月です。既に対策をとられている企業も多いと思いますが、これを機会に再度点検されてはいかがでしょうか。

サイトのコンテンツは、
  1. 無期転換制度の概要
  2. 実務のポイント
  3. 導入事例
  4. 導入支援策
の4つで構成されています。4の導入支援策には、

  • モデル就業規則
  • 専門家派遣事業
  • セミナー・シンポジウム
  • 助成金
  • 都道府県労働局の相談窓口
といった内容が記載されているようです。

現政権では、一億総活躍社会を政策目標にしており、無期転換制度を活用して、例えば短時間正社員、地域限定正社員といった多様な雇用を推進して欲しいという狙いがあると思います。助成金のような支援策や好事例の紹介は今後も充実する可能性があるでしょう。定期的に記載内容を確認するとよいと思います。

ドイツは、EU諸国のなかでも比較的雇用における男女格差が存在する国であると紹介されています。


そのなかで男女格差の要因が紹介されていますが、日本と状況がそっくりで驚きました。

  1. 異なるキャリア選択:清掃、介護、保育、小売りなどの低賃金職種に女性が多い
  2. 育児・介護等の家族責任を理由としたキャリアの断絶が多い
  3. 女性が再就職する場合、フルタイムではなく、パートタイムやミニジョブ(パートタイムの一種)を選択することが多い
  4. 乏しい昇進機会・少ない女性管理職:パートタイム労働者が管理職に就くことは難しい
  5. 性別役割分担等の社会的固定概念(女性という理由のみで雑用をさせる、程度の低い業務をさせる等)が依然として職務評価や賃金格差に影響しており、男女の「間接差別」につながっている。
ただ、この記事の主眼である格差是正のための施策については、日本よりも積極的に取り組んでいるようです。法制度による是正措置と、それ以外の取組が行われています。今回は法制度のみ、概要を紹介します。

  1. クオータ制の導入:大手企業108社に対して一定の女性管理職割合とすることを義務付け
  2. 男女における同一労働同一賃金:従業員数500名以上の企業に対して、男女の同一労働同一賃金に関する取組の報告を義務付け
  3. 女性の就業環境整備:保育、介護といった面で女性がハンデを負いやすい構造的要因に対して改善措置を講じる
  4. 全国最低賃金制度:直接的に男女格差の取組ではないが、結果として男女の賃金格差解消に寄与した
男女格差の要因が日本と類似していること考えると、参考にすべき点があるように思います。



厚生労働省Webサイト「ユースエール認定企業が全国で24社になりました!」

平成27年10月1日に施行された青少年雇用促進法で新たにユースエール認定制度が設けられました。ユースエール認定企業が全国で24社にまで広がったというプレスリリースが、厚生労働省より発信されました。

さらにユースエール認定企業に対して今年度より、日本政策金融公庫の低利融資や国の公共調達での優遇措置が始まったとのことです。
国がこのような優遇措置をすると、同様の措置をする地方公共団体も現れるでしょう。

企業が雇用に関する情報を公表し、求職者の就職活動に有用な情報を得るサポートをする制度が定着すると、次は公表する情報の内容によって競争が促される可能性があると私は考えています。
求職者に選ばれるために、例えば離職率を改善しよう、労働時間を削減しようというインセンティブが働き、それによって職場の就業環境が改善することは、我が国の雇用社会にとっても有益でしょう。

雇用情報公表制度の定着・利用促進のために低利融資や公共調達での優遇を実施する理由は、そのあたりにあるのだと思います。

採用活動を積極的に行っている企業、公共の業務を手掛けている、または今後手掛けていきたい企業は、ユースエール認定を受けることを考えるのも一つの方法でしょう。

ユースエール制度の概要や、認定されるための条件はこのページを参考にしてください。


日本経団連編『2016年版経営労働政策特別委員会報告』の冊子が手元に届きましたので、目を通しました。私なりに印象に残った箇所をご紹介したいと思います。

1 春季労使交渉・協議に対する経営側の基本姿勢

2015年世界経済の成長率は2.9%にとどまったが、16年以降は徐々に高まると予想。但し、新興国経済や中東情勢など不安定要素があり、不透明感がある。日本経済について、企業業績は2015年までは好調に推移している一方、16年は成長が鈍化すると予想している。(pp70-71)

中小企業の労働生産性は、2014年度までの20年間で約1割低下している一方、労働分配率は60%台前半で一定である。今後、労働生産性の安定的な向上なしに賃金が上昇すると、労働分配率が上昇して中長期的な競争力が損なわれる懸念がある。(pp72-73)

上記の経済状況のなかで、、、

デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のため、2015年を上回る「年収ベースの賃金引き上げ」を各社に期待している。(pp77-78)

そのためには、一律のベースアップに限らない、各社の実情・労務管理の課題に応じた賃上げ方法を検討すべきである。具体的には、特定の世代への重点的なベースアップ原資の配分、賞与の増額、次世代育成のための手当や福利厚生の充実などの方法がある。(pp78-79)

2 その他

人事労務管理の課題として、女性・若年者等に特に注目したダイバーシティ経営、過重労働防止と健康経営、仕事と介護の両立支援が取り上げられている。(pp1-23)

特に、過重労働防止については、労基法改正法案に触れ、(ア)現状で猶予されている50%以上の割増率を中小企業への適用、(イ)使用者の責任で年5日の有給休暇を取得させる措置、(ウ)管理監督者を含む労働者全員に対し、健康保確保を目的とした労働時間の把握といった施策を、「働き過ぎ防止は社会的要請であり、経済界としては、法改正に向け率先して対応を図っていきたい。」とし、肯定的にとらえている。(pp31-32)



日本経団連はホワイトカラー職種のような、労働時間に比例して生産高が上がっていくとは限らないような業務について、かねてから現行の労働時間規制とは別の取り扱いを望んでいることはご存知のことと思います。
その実現のために、健康管理については積極的に取り組む必要があると考えているのでしょう。
女性活躍推進法/事業主行動計画策定指針についての、第4回目のブログです。


第1回目では、女性活躍の意義や課題、第2回目では、組織体制の整備と状況把握・課題分析、第3回目は計画の策定から公表までについて述べました。
今回は計画の推進、情報公表について書いていくことにし、この法律に関する説明を締めくくりたいと思います。

1 計画の推進
計画を立てた後は、それを実施していくこととなります。取組自体は行っていくこととなりますが、計画に織り込んだ目標については、達成する努力義務が課されているにとどまります(法第8条6項)。目標であって必達のノルマではないということです。
計画の推進は、計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)のマネジメントサイクルを運用し、労使が協調して取組んでいくことが求められています。

また、取組時状況が良好な場合は、「認定制度」により取組状況をアピールできるようです。認定基準(PDFファイル)は三段階で設定されています。「三ツ星」や、「金銀銅」といったイメージなのでしょうか。次世代法で、「くるみん」、「プラチナくるみん」マークが設けられていますが、それに似たようなものになるのでは?と思っています。

2 情報公表
計画の公表とは別に、情報公表の規定も設けられています(法16条)。
公表項目は4つのカテゴリに分けられています。採用、継続就業・働き方改革、評価・登用、再チャレンジ(多様なキャリアコース)の4つです。

(1) 採用
・採用した労働者に占める女性労働者の割合(雇用管理区分ごとに把握)
・男女別の採用における競争倍率(雇用管理区分ごとに把握)※
・労働者に占める女性労働者の割合(雇用管理区分ごとに把握、派遣労働者を含めて把握)

(2) 継続就業・働き方改革
・男女の平均継続勤務年数の差異 ※
・10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
・男女別の育児休業取得率(雇用管理区分ごとに把握)
・労働者の一月当たりの平均残業時間 ※
・労働者の一月当たりの平均残業時間 (雇用管理区分ごとに把握、派遣労働者を含めて把握) ※
・有給休暇取得率

(3) 評価・登用
・係長級にある者に占める女性労働者の割合
・管理職に占める女性労働者の割合
・役員に占める女性の割合

(4) 再チャレンジ(多様なキャリアコース)
・男女別の職種又は雇用形態の転換実績 (雇用管理区分ごとに把握)(派遣労働者については雇入れの実績)
・男女別の再雇用又は中途採用の実績 ※

※の項目については、「状況把握」項目と計算方法が違いますので、注意してください。詳細は、パンフレットp29を確認してください。

情報公表は、計画の公表手続と同様に、自社のWebサイトや国が運営する「女性の活躍・両立支援総合サイト」に公表します。

なお、未確定の情報ですが、女性の活躍・両立支援総合サイト」で公表されたデータは、ダウンロードが可能になるようです。ベンチマークとなるようなライバル企業のデータとの比較や、平均値や標準偏差といった基本統計量の算出を通じた自社とのデータ比較が可能になれば、人事管理を行う上で、有用な情報となるでしょう。

3 締めくくりとして
近年、企業に行動目標を計画させて、その達成を促すような法律が色々成立しています。国が最低基準や、措置義務を課して一律の対応を求めるような法制度に加え、国が大きな枠組みとして達成すべき事項のみを定め、詳細は企業の状況に応じた自主的な取り組みを促すという制度が増えつつあると実感しています。次世代法がその端緒であったと思いますが、女性活躍推進法、青少年雇用促進法や、改正安衛法の化学物質のリスクアセスメントでも取組内容自体は企業に委ねるという施策が講じられています。

私たち社会保険労務士の仕事も、単に法規制に精通しているだけではなく、法の趣旨を的確に理解し、企業の実情を踏まえた適切な目標を設定し、マネジメントサイクルの管理を通じて適切なアドバイスをする能力が、今後一層求められているように感じます。



女性活躍推進法/事業牛行動計画策定指針についての、第3回目のブログです。


第1回目では、女性活躍の意義や課題、第2回目では、組織体制の整備と状況把握・課題分析について述べました。
今回は、計画の策定、周知、公表、届出まで説明します。

1 行動計画の策定
行動計画には、
  1. 計画期間
  2. 数値目標
  3. 取組内容及び実施時期
を定める必要があります。そしてその計画には、状況把握・課題分析を考慮して定めることが求められています(法8条2項、3項)。

(1)計画期間
女性活躍推進法は、10年の時限立法となっています。そして、行動計画は進捗状況を見て、改定していくことが予定されているようです。従って、期間は2年から5年程度の計画として、定期的な見直しをすることが望ましいとされています。

(2)数値目標
状況把握・課題分析の結果をみて、個別の会社にふさわしい目標を設定すればよいとしています。「必ずしも、管理職に占める女性比率の上昇等に向けた数値目標である必要はない。」とわざわざ書いているくらいです。この法律が、巷で言われるような一面的な側面だけを強調しているわけでないことに注意が必要です。

(3)取組内容の選定・実施時期の決定
数値目標を設定したものについて、優先順位をつけてその目標を達成するための取組内容と時期を決めるとしています。
取組を行っていくにあたっては、性別にかかわりのない公正な採用、配置、育成、評価、登用が徹底される必要があるとしています。
そのうえで、例えば両立支援施策の整備が進んでいても、それを利用する者が少ないといった問題がある場合は、組織風土や、長時間労働等の働き方の問題を解決することが効果的であると指摘しています。

ところで、計画策定のプロセスの中で、派遣労働者についてはどのように取り扱えばよいのでしょうか。
指針のなかでは、一人一人の職業生活を通じた取組は派遣元、職場風土や長時間労働の是正といった課題は派遣先がそれぞれ取組んでいくことが必要とされています。従って、派遣先で職場風土や長時間労働の課題に取り組む場合は、派遣労働者を含めた取組が求められるとしています。

2 行動計画の周知・公表
(1)周知
行動計画は労働者に周知する必要があります(法8条4項及び8項)。書面交付、電子メールによる送付が、指針の中で例示されています。

(2)公表
自社のWebサイトや国が運営する「女性の活躍・両立支援総合サイト」に公表します。いずれか一つで問題ありません。
求職者、投資家、消費者等が知ることができるように、また、事業主が相互に取組内容を共有することができるように、ということが目的であるとしています。

3 計画の届出
計画の届出については、計画そのものを提出するのではなく、以下の内容を記載した書面を都道府県労働局へ提出します。

  1. 事業主の氏名又は名称及び住所(法人の場合は、代表者の氏名)
  2. 常時雇用する労働者の人数
  3. 計画の策定・変更日
  4. 計画の計画期間
  5. 状況分析の概況
  6. 計画の目標と取組内容の概況
  7. 計画の労働者への周知方法
  8. 計画の外部への公表方法
  9. 情報公表の方法
届出の参考書式は、単独のものと、次世代法の行動計画と一体となったものがこちらに用意されていますが、上記内容が具備されたものであれば、用意された書式以外のものでも提出できます。

以上が、計画策定から公表、届出までの流れです。

次回は、計画の推進と計画以外の情報公表について説明したいと思います。


女性活躍推進法の事業主行動計画策定指針について、引き続き説明します。


前回のブログでは、計画を策定する必要性について述べてきました。今回は、計画策定のプロセスのうち、
  1. 体制整備
  2. 状況把握・課題分析
について述べます。なお、計画の策定自体は常時雇用する労働者が300人を超える事業主が対象です。300人以下の事業主は努力義務にとどまります。

1 体制整備
このような取組につきものの、組織のトップによるメッセージの発信、トップの関与、専任の担当者の配置、継続的な実施を支える組織体制整備が求められています。

実施組織の構成員としては、非正規労働者を含んだ、幅広い層から登用することが望ましいようです。両性が関わり、労働組合にも参画するような、委員会を設けることが効果的であるとしています。

また、状況把握について、法で求められている項目が数値である一方、アンケートやヒアリング等で量的な項目以外の質的な内容も把握するよう努めることが重要であると指摘しています。

2 状況把握・課題分析
(1)状況把握・課題分析の意義
 前回のブログでご説明した通り、女性活躍推進法は、非正規雇用を含めた、あらゆる働き方をしている全ての女性が個性と能力を十分に発揮できることを目指している法律です。
 そのことから、状況把握をする際にも、雇用管理が異なることでそれに伴い実態が異なる場合は、雇用管理区分ごとに状況把握・課題分析を行うことが必要である点に注意が必要です。

(2)状況把握・課題分析の項目
必ず把握すべき項目は次の4項目です。(計算方法は省略。こちらのパンフレットの5ページから7ページをご確認ください。)
  1. 採用した労働者に占める女性労働者の割合(雇用管理区分ごとに把握)
  2. 男女の平均継続勤務年数の際(雇用管理区分ごとに把握)
  3. 労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況
  4. 管理職に占める女性労働者の割合
これらの項目は、厚生労働省が「女性の活躍に向けた課題の中でとりわけ多くの企業に該当する」(前掲パンフレットp5)課題と認識しているようです。

任意に把握すればよい項目は、次の21項目です。
  1. 男女別の採用における競争倍率(雇用管理区分ごとに把握)
  2. 労働者に占める女性労働者の割合(雇用管理区分ごとに把握、派遣労働者を含めて把握)
  3. 男女別の配置の状況(雇用管理区分ごとに把握)
  4. 男女別の将来の人材育成を目的とした教育訓練の受講の状況(雇用管理区分ごとに把握)
  5. 管理職や男女の労働者の配置・育成・評価・昇進・性別役割分担意識その他の職場風土に関する意識(雇用管理区分ごとに把握)
  6. 10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合(雇用管理区分ごとに把握)
  7. 男女別の育児休業取得率及び平均取得期間(雇用管理区分ごとに把握)
  8. 男女別の職業生活と家庭生活との両立を支援するための制度(育児休業を除く)の利用実績(雇用管理区分ごとに把握)
  9. 男女別のフレックスタイム制、在宅勤務、テレワーク等の柔軟な働き方に資する制度の利用実績
  10. 労働者の各月ごとの平均残業時間等の労働時間の状況(雇用管理区分ごとに把握、派遣労働者を含めて把握)
  11. 管理職の各月ごとの労働時間等の勤務状況
  12. 有給休暇取得率(雇用管理区分ごとに把握)
  13. 各職階の労働者に占める女性労働者の割合及び役員に占める女性の割合
  14. 男女別の1つ上位の職階へ昇進した労働者の割合
  15. 男女の人事評価の結果における差異(雇用管理区分ごとに把握)
  16. セクシュアルハラスメント等に関する各種相談窓口への相談状況(雇用管理区分ごとに把握、派遣労働者を含めて把握)
  17. 男女別の職種又は雇用形態の転換の実績(雇用管理区分ごとに把握)
  18. 男女別の再雇用又は中途採用の実績(雇用管理区分ごとに把握)
  19. 男女別の職種若しくは雇用形態の転換者、再雇用者又は中途採用者を管理職へ登用した実績
  20. 男女別の非正社員のキャリアアップに向けた研修の受講の状況(雇用管理区分ごとに把握)
  21. 男女の賃金の差異(雇用管理区分ごとに把握)
なお、任意の項目ということですので、これらの指標以外に、企業独自の指標を作って状況を把握することも推奨されています。

計画を作る前に、状況を正確に把握することは非常に重要です。いわゆるPDCAサイクルというと、最初にいきなり計画(Plan)を作るということになりますが、この法律では、Planの前に状況分析をすべきとしています。この点は、もっと評価されてよいように思います。

平成27年12月1日に、頭書報告書が公表されました。

報告書の内容で世間の耳目を集めたのは、幼児期からの能力開発、特に非認知的能力(計測が難しい能力のことで、例えば性格)の向上と、将来の雇用形態や賃金額との関係についての論文を引用した箇所だったと思います。
この点については専門家の議論が活発ですので、そちらをお読み頂ければよいと思います。例えばこういうことが論じられているようです。

今回、私が紹介しようと思うのは、能力が向上した後の話として、その能力を最大限発揮してもらうための就業環境の整備について触れている箇所(pp16-23)です。

そのなかでは、
  • 人材の最適配置(多様(女性、若年者、高齢者、障害者、生活困窮者他)な人材の活用)
  • 長時間労働の抑制
  • 「多様な正社員」(勤務地、職種、勤務時間限定正社員)の普及・拡大
  • 公正処遇(均等・均衡待遇)
  • 安全衛生管理(過重労働対策)
  • ハラスメント対策
が挙げられています。この報告書の内容に沿った政策立案がなされるということですので、キーワードの性質により、インセンティブ付与(助成金等)、法規制といった施策が出てくるかもしれません。
そしてそのような制度が定着してくることで、社会通念も変容してくることも意識しておいた方が良いように思います。
青少年雇用促進法の11条(ハローワークの求人不受理),13,14条(青少年雇用情報の提供)についての検討が進んでいるようです。


まず,ハローワークの求人不受理については,対象条項が検討されました。
  1. 新卒一括採用という特殊な雇用慣行
  2. 心身の発達過程及び家族形成期にあるといった青少年に固有の事情
を勘案して,賃金・労働時間,労働条件明示,男女雇用均等,ワークライフバランス,年少者保護規定の法違反があった場合,それが是正されたときから一定期間は求人票を受理しないという内容になっています。

次に,青少年雇用情報の提供については,提供を求める方法や提供項目が検討されました。
提供項目としては次のような内容が候補とされているようです。

1) 募集・採用に関する情報
  1. 過去3年間の新卒採用者数・離職者数
  2. 平均勤続年数
  3. 過去3年間の新卒採用者数の男女別人数 等
2) 企業における雇用管理
  1. 前年度の月平均所定外労働時間の実績
  2. 前年度の有休の平均取得日数
  3. 前年度の育休取得対象者数・取得者数(男女別)
  4. 役員及び管理的地位にある者に占める女性割合 等
3) 職業能力の開発・向上に関する状況
  1. 研修の有無及び内容
  2. 自己啓発支援の有無及び内容
  3. メンター制度の有無
  4. キャリア・コンサルティング制度の有無及び内容
  5. 社内検定等の制度の有無及び内容 等
情報提供に関しては,新卒採用が対象(一部既卒採用も対象)となっており,幅広く公表することは努力義務,求めがあった場合は,1)から3)までの項目を少なくとも一つずつ公表する義務が生じる予定です。

情報公表に関しては,これまであまり法律上の規定はなかったと思います。企業としては慣れない対応になると思いますので,今後の動向に注視しつつ,状況が確定したときにすぐに対応できるよう,できる準備は進めていくことが望ましいと思います。


本年8月28日に参議院で女性活躍推進法が可決・成立しました。
法律は公布の日から施行されていますが、同法で新たに求められる一般事業主行動計画の策定・届出・社内周知・公表及び女性の職業選択に資する情報の公表に関する部分については、平成28年4月1日に施行されます。

ここでは一般事業主行動計画に関する事項と、情報公表に関する事項について簡単に紹介したいと思います。併せて、これらの措置の前提になっている同法の基本的な理念についても紹介します。


ア 「女性活躍」に関する基本的な考え方(第2条関係)
労働政策審議会の建議(女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みについて)の16頁に制度設計の基本的な考え方が述べられています。その内容として、
  1. 「女性の活躍」とは、一人一人の女性が希望に応じて個性と能力を十分発揮できることと定義していること
  2. 女性の活躍を推進するには労働政策にとどまらず、日本社会に存在する様々な阻害要因を取り除く必要があること
  3. そのために、働き方改革と共に、家庭での役割についても男女が共に貢献する、男女共同参画の視点が必要であること
  4. 政府目標として「指導的地位に占める女性の割合」増加を掲げているが、女性の活躍とは指導的地位周辺の一部の女性だけでなく、非正規雇用者、就業を希望するが働けていない者を含めて、あらゆる女性の「女性の活躍」を実現することを目指す必要があること
の4つが挙げられています。同法第2条に女性の活躍推進は、「職業生活における活躍に係る男女間の格差の実情を踏まえ」、「性別による固定的な役割分担等を反映した職場における慣行が女性の職業生活における活躍に対して及ぼす影響に配慮して」行われなければならないと規定しています。様々な社会的な要因を踏まえながら、あらゆる女性の「女性の活躍」を実現できるような政策が行われることになります。

イ 一般事業主行動計画の策定・届出・社内周知・公表(第8条関係)
300人を超える労働者を雇用する事業主に対して、同計画に関する一連の措置が新たに義務付けられることになります。施行日は平成28年4月1日ですので、その日までに全て完了する必要があります。300人以下の事業主は努力義務となっています。

一般事業主行動計画に定める内容は以下の3つです。
  1. 計画期間
  2. 取組によって達成しようとする目標(数値により定量的に定める)
  3. 女性の活躍推進のための取組内容及び実施時期

計画に関する対応は次の手順を踏んで行うものとされています。
  1. 自社の状況(女性の活躍状況)を把握し、今後の課題を抽出する
  2. それを踏まえた計画を策定し、労働局へ届出、社内周知、外部への公表を行う
1については、1)採用者に占める女性比率、2)勤続期間の男女差、3)労働時間の状況、4)管理職に占める女性比率を必ず把握したうえで分析を行うことが求められています。その他任意で把握する項目は10月に省令によって公表されるようです。また、分析のためのツールも、今後厚生労働省が提供するようです。
2については、届出の受付は来年1月より始まる予定であること、社内周知・外部公表の方法は10月に省令で明らかになるようです。そして、女性の活躍状況に関するデータベースを来年2月頃に厚生労働省が公表する予定とのことです。
また、計画は策定するだけでなく、目標の達成についても努力義務として求められていることに注意が必要です。

ウ 情報公表について(第16条関係)
300人を超えるの労働者を雇用する事業主は、イと併せて、女性の職業選択に資する情報を定期的に公表しなければならないとされました(労働者300人以下の事業主は努力義務)。
具体的な公表すべき項目については、10月に省令によって明らかになるようですが、複数の項目から一つ以上の項目を公表することとなる予定です。




「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律案」が11日に衆議院本会議で可決・成立しました。

この法律によって、1)これまで内容的には具体的な定めがあまりなかった勤労青少年福祉法が青少年雇用促進法に法律名が変更となり、2)職業能力開発促進法にキャリアコンサルタントの登録制といった新たな内容が定められました。


厚生労働省Webサイトの資料によれば、1)については、単に法律名が変わっただけでなく、色々な規定が盛り込まれることになったようです。

特に会社や求職者にとって直接関係のある規定は、法律案の第2条関係のようです。
勤労青少年福祉法改め、青少年雇用促進法の規定には、次のような事項が新設されています。
  1. 新卒者等の募集を行う場合、「青少年雇用情報」(※1)を提供する努力義務
  2. 募集に応募しようとする新卒者の求めに応じ、「青少年雇用情報」を提供する義務(努力義務ではありません)
  3. ハローワークは労働関連の法律に違反し、行政処分、公表、その他の措置が講じられた会社の求人票を受理しないこと
また、法律案の第1条には、
  1. 青少年に係る雇用管理が優良な企業に対し、厚生労働省が認定する制度
が設けられるようです。

これらの規定は、特に若年者雇用で問題になっている、ブラック企業対策の一環として成立しました。特に、新卒応募者に対する情報提供義務、(ハローワークは求人申込みをすべて受理しなければならないこととする職業安定法の特例としての)ハローワークの求人票不受理措置は、影響が大きいのではないでしょうか。


※1「青少年雇用情報」
  1. 青少年の募集及び採用の状況
  2. 職業能力の開発及び向上
  3. 職場への定着の促進に関する取組の実施状況
  4. その他の青少年の適職の選択に資するものとして厚生労働省令で定める事項
なお、PDFファイルの資料には、「労働時間等の状況」との記載もあります。

(2015.9.30追記)
9月25日付で、労働政策審議会が、施行規則の要綱について、妥当である旨の答申を出しています。要綱の内容はおおむね次の通りです。

  1. 認定事業主の認定基準
  2. 認定事業主に対する助成金等の優遇措置
また、法律を説明するフライヤーが公開されています。法律の内容がわかりやすく説明されているので、ぜひご一読ください。



厚生労働省のWebサイトで、全都道府県の地域別最低賃金額が公表されました。

平成27年度の地方最低賃金審議会による答申のポイントは次の通りとのことです。

・改定額の全国加重平均額は798円(昨年度780円、18円の引上げ)。
・全国加重平均額18円の引上げは、最低賃金額が時給のみで示されるようになった
 平成14年 度以降、最大の引上げ(昨年度は16円)。
・最高額(東京都907円)と最低額(鳥取県等4県693円)の比率は、76.4%(昨年度は76.2%。
 なお、この比率が改善したのは平成15年度以来)。

鳥取県以外では、高知県、宮崎県、沖縄県が最低額693円でした。

ところで、ここでいう平均額とは加重平均額です。データの個数、つまり賃金額の場合は労働者数を加味した平均であることは知っておいてよいのではないかと思います。
厚生労働省のWebサイトで、労働契約法第18条による有期雇用契約の無期転換ルールへ向けた対応に関しての情報提供がありました。昨日付の報道発表資料です。


無期転換ルールについて、積極的に取り組んでいる企業事例や、有期雇用契約労働者を無期雇用へ転換した際に支給される「キャリアップ助成金」が紹介されています。

また、無期転換ルールの例外である、専門性の高い業務を行う者や定年退職後の再雇用者についての認定制度について、認定件数を都道府県別に紹介しています。認定された件数は全体で585件、1位は東京労働局の145件、2位は静岡労働局の79件などとなっています。

半ば野次馬根性なのですが、認定件数だけでなく、申請件数も紹介してほしいなあと思いました。


厚生労働省と経済産業省(中小企業庁)が連携して、標記の事業を実施しているようです。


それぞれのページに支援施策紹介マニュアルがアップされていました。
また、厚労省のサイトには、生産性向上の事例集 ~最低賃金の引上げに向けて~と称する、事例集も提供されています。

マニュアルに記載されている、支援の内容は大きく分けて次の5つです。

  1. 全般的な相談窓口
  2. 新たな資金が必要になった場合の支援
  3. 雇用に関する支援
  4. 企業全体の生産性向上に関する支援
  5. 賃上げ企業に対する優遇措置・優先的採択事業
1については、最低賃金総合相談支援センター(ワンストップ窓口)と、下請けかけこみ寺(適正な取引のための相談窓口)が紹介されています。

2については、一時的な業績悪化に対応した資金貸付(セーフティネット貸付)、経営改善のための資金貸付(マル経融資)の記載がありました。

3では各種助成金が、4では各種助成金、相談窓口、人材育成、減税措置がそれぞれ紹介されており、5に関しては減税措置と補助金採択の優遇、補助金上限額の拡大について述べられていました。

これらの諸施策は、当然のことですが、最低賃金引き上げに限ったものではありません。従って、例えば生産性の向上や、資金の確保が経営課題の企業にとっても参考になると思います。

朝日新聞に面白い記事がありましたので紹介します。

朝日新聞 2015年3月29日 15時27分 カープの試合がある日は残業なしに 広島労働局が提案 

労働局長自らカープのユニフォームを着て会見されていて、本気度の高さを感じます(笑)。

広島ならではのアイデアですよね。地域の良さに根差したアイデアは拒否反応が少なそうですし、一定の効果があがれば他の地域でも参考になるかもしれませんね。

今後どのような結果になるのか、興味があります。
労働政策研究・研修機構の海外労働情報に興味深い記事がありましたので、紹介します。

50年後のガストアルバイター -WSI調査

ドイツでは、第二次大戦後の労働力不足に対応するため、複数の国と二国間協定を締結し、ガスト(客)アルバイター(労働者)と呼ばれる外国人労働者を受け入れました。
彼らは建設現場や工場のライン工として働くことが多かったそうで、「ガスト」が示す通り、当初はさほど長くない期間で本国へ戻るものとされていたようです。

このレポートによれば、帰国せず残留したガストアルバイターの多くは、ドイツ人が嫌がる仕事を担い、それによってドイツ人は社会的な昇進を果たすことができたようです。
ガストアルバイター自身は、少なくとも当初は短期間で稼ぎ、本国で成功者として帰国することを意識していたようですが、そうでない者も少なからずいました。

ガストアルバイターが短期間の労働で帰国しなかった理由や、どれくらいの割合の者がドイツに残留したのか、このレポートでは判然としませんが、残留した多くの者は高齢になり、貧困問題が浮上しているそうです。

そしてWSIはこう結論づけています。
「移住政策を経済政策上の目的で利用しようとする者は、前提となった経済問題が忘れ去られた後も、政策の影響が当事者や社会で存在し続けていることを熟慮すべきである」

人間の寿命は80年近くになるわけですから、当然といえば当然の結論なのかもしれません。移民を受け入れるということの重みや難しさを感じました。
移民を受け入れる動機として、経済的な問題を挙げることは否定しませんが、同時に長期の問題を抱えることは考慮にいれるべきなのだろうなと思います。相手は生身の人間なわけですから。