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労働保険のブログ記事
中国現地法人の総経理として派遣されていた方の死亡について、労災保険給付の不支給決定の取消が認められなかった事例が判例雑誌に紹介されていました。

中央労働基準監督署長事件(H27.8.28 東京地裁判決、労働経済判例速報67巻5号 通算2265号 pp3-16)

労災保険は本来、日本国内に所在する事業に関し、業務上又は通勤による負傷、疾病、障害、死亡等に対して保険給付を行う制度です。
従って、日本国内で事業を行う事業主が、海外において行われる事業に従事させるために労働者を派遣する場合、その派遣された労働者は、本来的には派遣先国の諸制度によって保護されるべきところですが、必ずしも当該国で日本の労災保険のような制度が整備されているとは限りません。
そこで、労災保険制度では、海外の事業に従事するために派遣される労働者について、事業主が申請し、国が承認することで特別に労災保険に加入を認めるという、特別加入制度を設けています。

もっとも、日本国内の事業に従事する者が、海外出張中に事故に遭った場合は、特別加入制度の適用をするのではなく、本来の労災保険制度によって救済されることとなっています。

今回の事例では、死亡した方に関して特別加入手続きをしていませんでした。国内事業に従事する「海外出張者」であれば、手続をしていなくても保険給付されますが、海外の事業に従事する「海外派遣者」であれば、特別加入が国によって承認されていないと、労災保険から保険給付を受けることができません。死亡された方が、「海外出張者」か「海外派遣者」かのいずれに該当するかが争われたのが今回の事例です。

裁判所は、その判断枠組みとして、次のように判示しました。

期間の長短や海外での就労に当たって事業主との間で勤務関係がどのように処理されたかによるのではなく、当該労働者の従事する労働の内容やこれについての指揮命令関係等当該労働者の国外での勤務実態を踏まえ、いかなる労働関係にあるかによって総合的に判断すべきである。(p14)

そして、今回の事例について
  1. 現地法人が、場所的に本社から独立して存在していること
  2. 現地法人の法的地位ないし権能、活動の実態が、独立した事業場として評価するに値すること
  3. 現地法人での、死亡した者の地位、業務内容が、現地法人の業務に従事していたといえること
の主に3つを検討しています。

1については、現地法人が中国に所在するため、場所的に独立していることは明白です。2については現地での活動拠点としての実態を有しており、決裁権限に内部的な制約はあったようですが、これは国内の独立した事業所でも同様であるので、独立性を否定しないと判断しています。3についても、死亡された方は、中国国内の営業活動や物流管理業務に従事しており、本社が勤怠管理し、賃金を支払っていた事情はあるものの、それをもって現地法人の業務に従事していたことを否定する事情とはならないとしました。

労働者を海外へ派遣する、長期出張させるといった場合、特別加入申請の必要性の判断について、今回の事例が参考になると思います。近年、中小企業も積極的に海外へ進出していますが、特別加入制度の手続きに遺漏がないよう、ご注意頂く必要があるでしょう。

なお、海外派遣者に係る特別加入については、海外の事業に労働者として従事する場合だけでなく、中小規模の事業であれば「役員」として従事する場合も申請が可能です。
詳しくは、厚生労働省のパンフレットをご覧ください。






さきほどtwitterでつぶやいた内容なのですが、自分への備忘録としてブログにも残しておきます。

--以下twitterのつぶやきの転載--

労働保険料等再確定申告っていう法律で定められていない手続きがあるのを、今日まで知りませんでした。労働局によって扱いが違うようなのですが、東京労働局の場合は、これの適用がありうるようです。 

法律上の制度をそのまま適用すると、確定労働保険料については、申告期限である7月10日を過ぎた後に労働保険料の再計算が必要な事由が生じた場合、国が職権で行う認定決定がなされ、追徴金が課せられます。

認定決定は国の職権で行われるのですが、自主的に申告内容に不備があったことを申し出た場合は、本来申告期限内でしか認められない、「再申告」の制度を例外的に認め、事業主に労働保険料の際申告を認めることがあるのだそうです。この場合、認定決定であれば課される追徴金は払わなくてよいとのこと。

労働局としては、自主的な申告を極力進めたいという考えなのかなあと思います。また、各都道府県局で扱いが違うようなので、事前の確認は必要かと思いますが、労働保険の申告内容に不備があった場合は、まずは所轄の労基署に相談されるのもよいのかなと思った次第です。

都道府県局によっては、問答無用で認定決定ということもあるようなので、、、その点はご承知置き下さい。 

労働保険料の申告納付って、税金ほどには浸透していないので、徴収担当部門は苦労しているのかもなあ。

あ、私が労働保険料の申告を単純にミスったという話じゃないので、その点は誤解してほしくないです。。。 

ちなみに、認定決定された際の追徴金は労働保険料の10%です。