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時間外労働の上限規制等について

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 内閣総理大臣が議長となっている働き方実現会議において、今年3月に「働き方改革実行計画」が決定されました。厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会で時間外労働の上限規制等について審議が行われ、今回の建議が行われました。産業医・産業保健機能の強化に関する建議と同様、働き方改革実行計画を受けての建議です。



以下の通りその内容をまとめました。

1 時間外労働の上限規制
1)上限規制の原則的枠組み
 ●現行の時間外限度基準告示の法律への格上げし、罰則による強制力を持たせること、
 ●従来は上限なく時間外労働が可能であった臨時的な特別の事情がある場合であっても上回ることのできない上限を設けること
 以上の2つの対応について適当であるとされました。そのうえで、次のように述べられています。
 
 ●時間外労働の上限規制は、現行の限度基準告示と同じ、月45時間、年間360時間とする(3ヵ月を超える期間を対象期間とする1年単位の変形労働時間制においては、月42時間、年間320時間)。上限規制の違反は、次の特例に該当する場合を除き罰則を科すことが適当であるとされました。
 ●特例として、臨時的な特別の事情がある場合、労使協定を締結する場合でも超えてはいけない時間外労働時間を年間720時間とすることが適当であるとされました。さらに年720時間以内において、最低限上回ることのできない上限として、
 ア)休日労働を含み、2ヵ月ないし6ヵ月平均で80時間以内
 イ)休日労働を含み、単月で100時間未満
 ウ)原則である月45時間(一年単位の変形制の場合は42時間)を上回る回数は、年6回まで
 とすることが適当であるとされました。
 なお、原則である月45時間の上限規制には休日労働時間を含まないこととされているため、アとイについては、特例を活用しない月(=月45時間以内の月)においても適用される点には注意が必要です。
 ●現行の36協定は、「1日」と「1日を超える一定の期間」についての延長時間が必要的記載事項とされ、「1日を超える一定の期間」については、時間外限度基準告示で「1日を超え3ヵ月以内の期間及び1年間」とされている。今後は、月45時間、年360時間が法定化されることから、「1日を超える一定の期間」は、「1月」と「1年」に限るものとすることが適当であるとされました。また、1年間の上限を適用する起算点を明確化することも適当であるとされています。

2)現行の適用除外等の取扱い
 現行の時間外限度基準告示では、1)自動車の運転の業務、2)工作物の建設等の事業、
3)新技術、新商品等の研究開発の業務、4)季節的要因等により事業活動若しくは業務
量の変動が著しい事業若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とさ
れる業務として厚生労働省労働基準局長が指定するもの、以上の4つが適用除外とされています。

ア)自動車の運転業務
 罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に年960時間以内の規制を適用することとし、かつ、将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることが適当であるとされました。また、この場合においても原則である月45時間、年360時間に近づける努力が重要とされました。

イ)建設事業
 罰則付きの時間外労働の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に一般則を適用することが適当であるとされました。ただし、復旧・復興の場合は単月で100 時間未満、2か月ないし6か月の平均で80 時間以内の条件は適用しないが、併せて、将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることが適当であるとされました。また、この場合でも原則である月45時間、年360時間に近づける努力が重要とされました。

ウ)新技術、新商品等の研究開発の業務
 業務の特殊性があるため、現行制度で対象となっている範囲を超えた職種に拡大することのないよう、その対象を明確化した上で適用除外とすることが適当であるとされました。
 その際、健康確保措置として、時間外労働時間が月100時間を超えた者に対し、医師の面接指導の実施を労働安全衛生法上義務付けることが適当とされ、義務違反への罰則の適用や面接指導後の事後措置の実施の義務付け、当該事後措置に代替休暇の付与を位置付けることも適当であるとされました。

エ)厚生労働省労働基準局長が指定する業務
 季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として厚生労働省労働基局長が指定するものについては、原則として罰則付き上限規制の一般則を適用することが適当であるが、業務の特殊性から直ちに適用することが難しいものについては、その猶予について更に検討することが適当であるとされました。

オ)医師
 医師法の応召義務等の特殊性を考慮し、改正法の施行期日の5年後を目途に規制を適用することが適当であるとされました。医療界の参加の下で検討の場を設け、規制の具体的なあり方等を検討し、結論を得ることが適当とされました。

3)労働基準法に基づく新たな指針
●可能な限り労働時間を短くするため、新たに労働基準法に指針を定める規定を設け、行政機関が助言・指導を行えるようにすることが適当であるとされました。
●指針には、特例による労働時間の延長をできる限り短くするよう努めなければならない旨、および休日労働も可能な限り抑制するよう努めなければならない旨を定めることが適当であるとされました。
●36協定の必要的記載事項として、原則の上限時間を超えて労働した労働者に講じる健康確保措置を定めなければならないことを省令に位置づけ、措置として望ましい内容を指針で定めることが望ましいとされました。その内容は、企画業務型裁量労働制対象者に講ずる健康確保措置として労働基準法第38 条の4の規定に基づく指針に列挙された内容(代償休日又は特別な休暇の付与、健康診断の実施、連続した年次有給休暇の取得促進、心とからだの相談窓口の設置、配置転換、産業医の助言指導に基づく保健指導)を基本として、長時間労働を行った場合の面接指導、深夜業の回数の制限、勤務間インターバル等を追加することが適当であるとされました。
●現行の限度基準告示に記載されている、限度時間を超える時間外割増率を法定の割増率を超えるよう努めなければならない旨の規定、労働時間を延長する必要のある業務区分を細分化する旨の規定についても、新しい指針に規定することが適当であるとされました。

2 勤務間インターバルについて
労働時間等設定改善法第2条(事業主等の責務)を改正し、事業主は、前日
の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならない旨の
努力義務を課すとともに、その周知徹底を図ることが適当であるとされました。そのうえで、同法に基づく指針にも、「労使で導入に向けた具体的な方策を検討すること」を記載することが適当であるとされました。

3 長時間労働に対する健康確保措置
●現行では、1週間当たり40時間を超えて労働させた場合、その超えた時間が1か月当たり100時間を超えた者から申出があった場合に義務となっている医師の面接指導について、100時間を80時間に改める省令改正を行うことが適当であるとされました。
●管理監督者を含むすべての労働者を対象として、労働時間を把握しなければならない旨を省令に規定することが適当であるとされました。労働時間把握の方法は、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を参考に、通達において明確化することが適当であるとされました。

4 その他
 法改正までに十分な準備期間を設けることが必要であるとされています。
 また、上限規制の履行確保については、以下の2点について措置することが適当であるとされています。
1)過半数代表者
 選任方法について、使用者の意向による選出は手続き違反である旨の通達の内容を労基法施行規則に規定することが適当であるとされました。また過半数代表者が円滑に業務を遂行できるよう使用者が配慮する義務があること、使用者に36協定を労働者に周知させなければならない法の規定を踏まえ対応を徹底を図ることが適当であるとされました。
2)労働基準監督機関の体制整備
 上限規制導入の前提として、36協定の締結・届出を行うことなく時間外・休日労働をさせている使用者の監督指導の徹底が強く求められていることため、企業単位の監督指導の強化、地方運輸機関等との連携強化、労働基準監督官の定員確保などを行うことが適当であるとされました。
3)電子申請の促進
 36協定の届出について、簡素化・効率化を進めるために、電子申請の利便性向上を図ることが適当であるとされました。具体的には、使用者の電子署名が必ず必要となっている現行の取り扱いを改め、社会保険労務士の電子署名による代理申請に際しては、事業主の電子署名については委任状の添付等により省略できることについて、省令の改正を行う方向で検討を継続することが適当であるとされました。
 
以上が建議の内容です。建議にもあるとおり、改正法の施行までに十分な時間を与えられるようですが、今からでもできることは、早期に検討する方がよいように思います。
 

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