Blog Topへ > アーカイブインデックス > 2017年2月
久保事務所Webサイトへ
  • サイトポリシー
  • プライバシーポリシー
  • サイトマップ
2017年2月アーカイブ
平成28年の賃金構造基本統計調査結果が公表されました。


私も顧問先の調査票を作成するなどの関わりがあり、また、人事制度・賃金制度設計をする際にもよく利用していますので、なじみの深い調査です。

調査の内容は、労働者の性別・年齢・勤続期間・学歴といった個人属性、雇用形態・就業形態、労働日数・労働時間、所定内・所定外賃金等で、年齢別、企業規模別、学歴別、雇用形態、就業形態別に賃金・労働時間データを集計しています。

報道関係資料によると、賃金の男女格差・正規・非正規間の格差が、これまでよりも最も縮小しているとのことです(男女格差は平成9年から、雇用形態間の格差は平成17年からデータが存在しています)。
男女間格差は、これまでほぼ一貫して格差が縮小していますが、そのテンポは緩やかといってよいでしょう(調査の概況 p4)。

性別による賃金差別は労基法により禁止されていますが、実態として女性は非正規労働者の割合が高く、それが原因で賃金格差が生じているように思います。
このあたりも現在検討されている、「同一労働同一賃金ガイドライン案」によってどのように変化するのか、5年後や10年後になると思いますが、確認していきたいですね。
これまでは、25年間保険料を納付した実績(これを資格期間ということにします)がないと老齢基礎年金を受け取れませんでしたが、平成29年8月より資格期間が10年に短縮されることになりました(※)。

昨年の臨時国会で法律が成立し、平成29年8月から新しい制度での支給が始まります。

10年に短縮されるにあたり、日本年金機構で準備を進めているようで、2月14日には以下のような記事が掲載されました。


その記事によると、男性は昭和30年8月1日以前、女性は昭和32年8月1日以前生まれの方で、資格期間が10年以上25年未満の方を対象に、順次手続きに必要な書類が郵送されるようです。
書類が届き次第、手続きをされることをお勧めします。

これまで、中高齢者を雇用する際、年金加入期間が短いため、厚生年金に入りたくないという方がいらっしゃいましたが、そのようなことも少なくなるのではないでしょうか。
最後には納得していただくのですが、老齢年金をもらえないのに保険料を納めることに抵抗を感じている方を説得する(例えば、障害年金の話をする)のは大変でした。

その点では、私にとってもありがたい法改正だと思っています。


※資格期間には、国民年金保険料だけでなく、厚生年金、共済年金の保険料納付済期間を含みます。また、納付済期間だけでなく、保険料免除期間や合算対象期間(いわゆるカラ期間)も合算されます。


36協定の締結に際し、労働組合のない事業所の場合は、労働者代表を選出する必要があります。ところが誰も代表者を引き受けてくれず、困るという状況になることがあります。
残業をさせないようにすることも一つの方法ですが、これまで一定の残業をしてきた職場で急に残業をやめることも難しいでしょう。
このような場合にどのように対応すればよいのか、以下のケースを例に挙げて考えてみたいと思います。

---

山崎さんは、100名の従業員が在籍する雑貨販売会社A社で総務・人事業務を担当しています。
本社は横浜にあり、関東一円に複数の店舗を展開しています。
こだわりの商品構成が固定ファンを引き付け、業績も好調です。

A社では決算日に合わせて時間外労働・休日労働に関する協定(以下、36協定といいます)の更新を行っており、今年も決算日まで2ヵ月を残すところとなりました。そこで、山崎さんは各店舗に36協定の更新手続きを依頼しましたが、二週間後に横須賀店の店長から次のような相談を受けました。

これまで横須賀店では、店舗のリーダー格である内川さんがいつも立候補して労働者代表に選出されてきましたが、4か月前にライバル店に引き抜かれて退職し、店舗のリーダーが不在という状態が続いていました。そんな中で労働者代表を選出を依頼を受けたのですが、従業員の話し合いで代表者が決まらず困っているとのことでした。そして仕方ないので、自分が立候補して、メンバーに認めてもらうつもりだが、どう思うか?というものでした。

内川さんがいれば何の問題もなかったのですが、彼はもういません。山崎さんはどのように対応すればよいのでしょうか?

---

36協定を締結する際の労働者側の当事者は、労働組合員が過半数在籍している事業所であればその組合となりますが、そうでない事業所の場合は、事業所の全労働者の過半数を代表する者を選出する必要があります。その際に留意しなければならない点としては、次の二つが考えられます。

1 時間外、休日労働に関する労基法の規制の適用を除外されている管理職に該当する者は、労働者代表になれないこと
2 36協定を締結するための過半数代表者だという説明をしたうえで、挙手や投票などの民主的な手続きで選出すること

今回の場合、店長は1に該当する可能性が高いと思います。1に該当するかどうかは、(ア)重要な職務を担い、経営者と一体となって関わっていること(例えば新規採用の決定権がある)、(イ)自由に勤務時間・勤務日を決定できること、(ウ)管理職にふさわしい高い賃金を受けていること等の要素を総合的に考慮して決定することになります。
横須賀店の店長がパートの採用に関して権限があり、他の正社員と比べて高い賃金を受けているようなら、これらの要素のうち2つを満たすことになるでしょう。
そうすると、店長は1の管理職に該当する可能性が高いと言え、労働者代表になることはできない可能性が高くなります。店長が労働者代表に立候補しようとすることは止める必要があります。

2に関して、誰も労働者代表になりたがらない場合、会社や店長が特定の誰かを指名してもよいのでしょうか?
会社が代表者を指名することはできません。そのような方法で締結された36協定は無効となります。

この場合、代表者候補をクジ引きで選出して、選出された候補者について多数決で決める方法を採らざるを得ないと思います。この選出プロセスを全労働者に説明し、賛成してもらったうえで手続きを進めるとよいでしょう。

クジ引きであれば、会社の恣意は入り込みません(※)し、そのような選出方法自体も労働者の賛成を得ているのであれば、問題はないのではないかと思います。
会社が候補者を擁立して過半数労働者の賛成を得る方法や、従業員に誰かを推薦するように働きかける方法もあると思います(この場合、候補者の擁立や推薦の働きかけ以上のことを、会社が行わないようにすることが、非常に重要です。)が、それ以上に会社の恣意が入り込まない方法がクジ引き方式だと思います。
選出された代表者候補の信任投票を実施し、過半数労働者の賛成を得て、代表者として選任すればよいでしょう。

ところで、会社の親睦会組織の代表者を自動的に選出するという方法を採用している会社も見られますが、これも禁止されています。
二つの組織の代表者となること自体は禁止されていませんので、36協定の労働者代表になる場合は改めて過半数労働者の賛成を得て選出するようにしてください。(了)

※NHK大河ドラマ『真田丸』の真田昌幸のようにクジに細工はしないでください(笑)。クジである以上、誰の恣意も入らないようにすることが大切です。