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2016年10月アーカイブ
既にご承知の方も多く、対応が済んでいる方も多いと思いますが、平成29年1月より育児介護休業法(以下 育介法)および男女雇用機会均等法(以下 均等法)の改正法が施行されます。

改正法の概要を総ざらいしておきたいと思います。
なお、具体的な就業規則の条文は、後ほど紹介する厚生労働省のモデル条文を参照されるとよいと思いますので、細かな内容というよりは、ポイントをピックアップする形で説明したいと思います。

<育介法改正>
Ⅰ 育児に関する改正内容
1 子の看護休暇が半日単位で取得可能
 原則として、所定労働時間の2分の1単位で休暇を取得することができるようになりました。
 業務の性質や実施体制に照らして半日を単位として取得することが困難と認められる場合に、労使協定を締結することで除外でき、また、所定労働時間が4時間以下の労働者については適用除外となっています。
 さらに、労使協定によって、所定労働時間の半分以外の休暇取得パターンとすることも認められます(例えば、午前3時間、午後5時間の休暇)。

2 有期契約労働者の育休取得要件の緩和
 要件が次のように変わりました
  1. 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること(従前と同様)
  2. 子が1歳6ヵ月に達する日までにその労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかである者でないこと(従前は2歳まで更新されないことが明らかというものでした。)
 ※「1歳以降も雇用継続の見込みがあること」という規定が削除されました。「雇用継続の見込み」という判定基準が曖昧であるためと言われております。

3 育児休業等の対象となる子の範囲の拡大
 特別養子縁組の看護期間中の子、および養子縁組里親に委託されている子等が新たに対象となりました。
 対象となる制度は、育児休業の他に、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置です。要はすべての制度です。

Ⅱ 介護に関する改正内容
1 介護休業の分割取得、および対象家族の範囲の拡大
 対象家族1人について、介護終了(多くの場合は対象家族の死亡)までの間、通算93日までの介護休業を通算3回までを上限として分割して取得可能となりました。これまでは、要介護状態ごとに93日・1回限りというルールでしたが、平成29年からは家族ごとに93日・通算3回まで休業できることとなりました。
 対象家族の範囲の拡大については、現行では祖父母、兄弟姉妹、および孫については、同居かつ扶養している必要がありましたが、来年1月からは同居・扶養の要件は削除されます。

2 「常時介護」の判断基準の明確化
 対象家族となるためには、常時介護が必要であると認められなければなりませんが、その判定基準がより明確な内容になりました。
 介護保険制度の要介護2以上の状態にあるか、この状態(資料の最後の2ページ)に該当することのいずれかであれば、常時介護が必要と認められます。

3 介護休暇が半日単位で取得可能
 子の看護休暇と同様の改正内容です。

4 介護のための所定外労働の制限
 現行では育児のためにしか認められていなかった所定外労働の制限が、介護のためであっても利用できるようになりました。対象家族ごとに介護終了まで利用できます。

5 介護のための所定労働時間短縮措置の拡充
 「介護休業とは別に」、「利用開始から3年の間で」、「少なくとも2回」の利用が可能となる方向で、制度が拡充されました。

<育介法・均等法改正>
上司・同僚が職場において、妊娠、出産、育児休業、介護休業等を等を理由とする就業環境を害する行為(ハラスメント)をすることがないよう防止措置を講じなければならないとされました。

防止措置の内容の多くは、セクシャルハラスメントの防止措置と同様と考えて頂ければよいと思いますが、具体的には次の通りです。

  1. 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発(否定的な言動がハラスメントの背景になること、制度等の利用ができることの2点は、セクシャルハラスメント防止措置にはない項目)
  2. 相談・苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制整備
  3. 職場における妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメントが生じた場合の事後の迅速かつ適切な対応
  4. 職場における妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置(セクシャルハラスメント防止措置にはない項目)
  5. 1-4までの措置と併せて講ずべき措置(プライバシー保護、相談・調査協力に際して不利益な取り扱いを行ってはならないことを定め、周知すること)
防止措置の詳細は以下の2つの指針を確認してください。



以上が改正内容の概要です。より詳しく知りたい方は、以下のリンクをご確認ください。



過労死白書

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過労死等防止対策推進法が平成26年に施行され、その第6条に基づいて作成されるのが、過労死白書です。今年度初めての白書が報告されましたので、概要を紹介したいと思います。


白書の構成は、第1章 過労死等の現状、第2章 過労死等防止対策の制定、第3章 過労死等の防止のための対策に関する大綱の策定、第4章 過労死等の防止のための対策の実施状況の4つの章から構成されています。
すなわち、1現状、2法制定の経緯・法の概要、3大綱、4対策の実施状況によって記載されております。

1 現状
 過労死等の現状(労働時間の状況、脳・心臓疾患や精神疾患の労災補償状況)と、労働・社会の状況(業種ごとの業務特性、生活時間等の労働以外の時間)に節を分けて説明されています。

 労働時間については近年減少傾向が見られますが、これはパートタイム労働者の増加によるもので、一般労働者の労働時間は2000時間/年と高止まりのままだと指摘されています。
 また、30・40代の労働者に長時間労働が多くみられること、年次有給休暇の取得率は平成12年以降5割を下回る水準で推移している状況が報告されています。
 このような状況下で脳・心臓疾患による労災認定件数は、それまで100件前後であったところ、平成14年に300件を超え、その後も300件前後で推移していること、精神障害については平成24年以降は400-500件の間で推移しているとのことです。

 業種ごとの労働時間の状況を見ると、平均的な1ヵ月の時間外労働時間が45時間を超えると回答した企業の割合は、運輸・郵便業、宿泊・飲食行、卸売・小売業の順に多いようです。
 さらに、時間外労働時間が最も長かった月について、その時間が80時間を超えると回答した企業の割合は、情報通信業、学術研究、専門・技術サービス業、運輸・郵便業の順であったと報告されています。

2 過労死等防止対策推進法の概要
 大綱の策定、過労死等防止対策(調査研究、啓発、相談体制整備、民間団体の活動支援の4つ)の実施、協議会の設置、調査研究等を踏まえた法制上の措置を行っていく旨の規定が盛り込まれた法律であることを紹介しています。

3 大綱
 大綱には目標が記載されており、早期達成を目指すとしています。目標と達成期限は以下の通りです。
  • 将来的に過労死ゼロを目指す(期限なし)
  • 週労働時間60時間以上の雇用者割合を5%以下にする(平成32年まで)
  • 年次有給休暇取得率を70%以上にする(平成32年まで)
  • メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上にする(平成29年まで)
4 対策
 1調査研究
 労災認定事案のケース分析、疫学研究、実験研究、社会調査の4つを実施するようです。
 労災認定事案のケース分析のためにデータベースを構築し、そのデータを解析します。
 疫学研究は、職域のコホート研究(特定の要因に暴露した群と、統制群の比較を長期間にわたって実施)、職場環境改善に向けた介入研究が予定されています。
 実験研究では長時間労働等のリスク要因による循環器負担の影響を調べることにしています。
 
 個人的には、実験研究の研究方法に興味があります。詳細を把握した際は、ブログでも紹介したいと思います。

 2啓発
 国民に向けた啓発、大学・高等学校における労働条件に関する啓発、キャンペーン期間(11月)中の重点監督等の実施等を実施します。

 3相談窓口の整備
 労働条件に関する相談窓口の設置(労働条件相談ほっとライン、相談実績3万件)、メンタルヘルス不調・過重労働による健康障害に関する相談窓口の設置(「こころの耳」メール相談実績6500件、「こころほっとライン」開設)、産業保健スタッフへの研修等の実施といった対策を行うとしています。

 4民間団体への支援
 過労死等防止対策推進シンポジウムの開催等を実施することとしています。

以上が過労死白書の内容です。国の目標として、週労働時間を60時間未満にすること、有給休暇の取得率を70%以上にすることが明記されており、それに沿った国の対応が進むことになると思います。企業としては、そのような経営環境が生じることを念頭に入れておいた方がよいでしょう。
 
 

本年7月1日より施行された、中小企業等経営強化法に基づき、「経営力向上計画」の受付が始まっています。2ページの申請書で、固定資産税の軽減措置や金融支援が受けられる制度です。


既に認定された企業もいくつか出てきているようです。今回はこの制度について概要を紹介したいと思います。

1 中小企業等経営強化法の概要
企業の生産性向上、ひいては経営力向上のために、(1)事業分野の特性に応じた支援として、「基本方針」、および各事業分野に精通した専門家による経営のベストプラクティスを記載した「事業分野別指針」を策定し、(2)「経営力向上計画」を作成した中小企業・小規模事業者に対して、税制優遇、金融支援を行うこととしています。

2 経営力向上計画の概要
 事業分野別指針(該当する事業分野に分野別指針がない場合は、基本指針)を参考にしながら、以下の内容を申請書に記載することで、計画を作っていきます。

(ア)現状認識
自社の事業概要、および自社の内部的な経営環境(強み・弱み)、外部的な経営環境(ビジネスチャンスの到来と後退)を記載します。
(イ)数値目標
経営力向上をどのような数値で達成するのか、指標の種類、現状の数値、計画終了時の数値を記載します。
(ウ)経営力を向上させるための具体的な活動
数値目標を実現させるための具体的な活動内容を、「事業分野別指針」に沿って記載します。分野別指針がない事業の場合、基本指針を用います。
(エ)ウの実施にあたって必要な資金
資金の使途、調達方法、および金額を記載します。
(オ)ウの実施にあたって導入する設備
設備の名称・型式、単価、数量、金額を記載します。

申請様式はこちらから入手してください。

3 手続き
事業分野ごとに提出窓口が異なりますので、注意が必要です。詳細はこちらを確認してください。

申請書等を提出することになりますが、それ以外に、固定資産税の軽減措置を受ける場合は以下の書類を準備しなければなりません。第三者に依頼する必要がありますので、事前に準備が必要です。

・工業会等の証明書等、経営力向上設備等の要件を満たすことを示す書類
・さらに、リース契約で物件を超たする場合は、上記の証明書に加えて、リース見積書、リース事業協会が確認した固定資産税軽減額計算書が必要です。

4 支援内容
(1)固定資産税の軽減
 生産性が1%以上見込まれる機器及び装置のみを対象に、販売開始から10年以内かつ、取得価額160万円以上の新品を購入した場合、固定資産税が3年間半額に軽減されます。

(2)金融支援
商工中金、日本政策金融公庫による低利融資、信用保証協会の保証枠の拡大等が受けられます。


以上が、経営力向上計画の内容です。申請用紙が少なく、比較的手軽に利用できる制度ですので、設備投資の予定のある企業であれば、活用を検討してみてはいかがでしょうか。