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2016年3月アーカイブ
厚生労働省が、安全衛生教育の教材として、製造業の未熟練労働者に対する教育マニュアルを公表しました。同省の委託事業として、一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会が作成したようです。


内容は多岐にわたっているのですが、私が印象に残った内容を簡単に紹介します。

1 災害防止対策
製造業の災害で多い類型である下記の5つの災害について防止対策を紹介しています(pp34-41)。
  1. はさまれ、巻き込まれ災害
  2. 転倒災害
  3. 切れ、こすれ災害
  4. 熱中症
  5. 腰痛症
2 安全衛生教育のポイント
安全衛生教育のポイントを以下のようにまとめています(pp49-64)。

  1. 職場には様々な危険が潜んでおり、危険に対する感受性を高めるため「かもしれない」の意識で作業することが重要
  2. 正しい服装や作業手順を守り5Sを実践し、それによって安全な職場を形成することを目指すことが重要
  3. 不幸にして異常事態や災害が発生した場合の対処方法もよく知っておく必要があること
このマニュアルを用いて、社内研修もできるようになっているようです。新入社員が入社する時期に合わせて作成されたのでしょうか。確かに新人教育に活用することも一つの方法だと思います。

平成28年2月に厚生労働省が「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を発表しました。

このガイドラインでは、事業者の治療と職業生活の両立支援の意義を、労働者の健康確保のためと位置付けておりますが、それ以外にも次のような意義があると述べています(ガイドラインp2)。

  1. 人材の確保
  2. 安心感やモチベーションの向上による人材の定着・生産性の向上
  3. 健康経営の実現
  4. 多様な人材の活用による組織や事業の活性化
  5. 事業者の社会的責任の実現
  6. 労働者のワーク・ライフ・バランスの実現
また、ガイドラインの巻末には、医師との連絡をするための各種様式が付録として添付されています。

  1. 主治医に労働者の勤務内容を伝えるための様式
  2. 治療の状況や就業継続可否の意見を求めるための様式
  3. 職場復帰可否の意見を求めるための様式
そして、これらの医師の意見を参考にして、治療と勤務の両立計画や、職場復帰計画を作成するための様式も付録として添付されています。

これら付録の様式は、このブログの先頭に貼り付けたリンクに、Word形式のファイルとしてもアップされています。

主治医と職場では、必ずしも目指す目的が一致するとは限らないと思いますが、このような様式を活用して、できるところからコミュニケーションを図っていくことは有意義でしょう。
両者のコミュニケーションが促進されることで、患者(労働者)の利益に資する対策が充実すれば、労使双方にとって今回の施策には意義があったといえるのだと思います。


この補助金は、平成27年度補正予算によって措置されました。「革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善」のための設備投資等を支援します。

公募期間はすでに始まっており、締め切りは4月13日です。残り1ヵ月になりました。
今回は、審査の着眼点や加点ポイントをおさらいしてみようと思います。

既に計画書の作成が進んでおられる方も多いと思いますが、ご参考にして頂けると幸いです。

1 用語の解説
(1)革新的サービス分野での申請について
中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン(PDFファイル)で示された方法、すなわち、付加価値向上の取組として、誰に(新規顧客層への展開or商圏の拡大)、何を(独自性・独創性の発揮orブランド力の強化or顧客満足度の工場)、どうやって(価値や品質の見える化or機能分化・連携orIT利活用)を検討する手法を示しています。
併せて、効率の向上のためにサービス提供プロセスの改善、IT利活用を検討する手法を示しています。
革新的サービス分野で補助金を申請する場合は、計画に上記の内、どの手法を用いるのかを明記したうえで、付加価値額や経常利益の向上を図ることを記載する必要があります。

(2)ものづくり技術分野での申請について
公募要領29頁に示された、「特定ものづくり基盤技術」(中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律第2条2項)の高度化に資する取組が求められています。
革新的サービス分野で補助金を申請する場合は、計画に特定ものづくり基盤技術を活用した、革新的な試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させる内容を記載する必要があります。


2 審査の着眼点(公募要領(PDFファイル)pp15-16,pp22-23より)
※の内容は、私の意見です。

(1)技術面
  1. 付加価値額、経常利益の増大を達成する取り組みであること(高度生産性向上型においては、投資利益率の増大)
  2. 新製品、新技術、新サービス開発の課題が明確になっており、その課題達成のための手段が具体的(例えば、必要な開発内容、材料、機械装置を明記する)で、達成目標が明らかであること。
  3. 課題の解決方法が明確かつ妥当で、優位性が認められること(※それを示すためにも、2をきちんと書く)
  4. 事業計画達成のための体制および技術的能力が備わっていること(※そのため、これまでの取組実績と、計画目標が達成されたときに獲得できる経営要素とその効果を明記する)
(2)事業化面
  1. 事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)、財務内容が、補助事業を遂行するのに十分だと期待できること
  2. 市場ニーズが考慮されていること。補助事業の成果を事業化するにあたってユーザ、マーケット、市場規模が明確であること
  3. 補助事業の成果そのものについて、価格や性能等上の強みが存在すること
  4. 事業化までの遂行方法やスケジュールが妥当であること
(3)政策面
  1. 他の企業のモデルとなりうる事業であること
  2. 国の方針(例えば賃金上昇に資する取組み)と整合性を持ち、地域経済と雇用の支援につながることが期待できる計画であること
  3. 金融機関からの十分な資金の調達が見込めること
  4. 競争力強化につながる経営資源の蓄積(例えば生産能力の向上)につながるものであること
4 加点ポイント
  1. 賃上げ等に取り組む企業であること
  2. TPP加盟国等への海外展開により海外市場の新たな獲得を目指す企業であること
  3. 現に有効な経営革新計画の認定を受けている企業であること
  4. 小規模型に応募する小規模企業者であること
(3)政策面の2にある、国の方針には、加点ポイントで示された内容が含まれているのではないかと思います。
さらに、政府が進めている政策に整合的な取組は審査で有利に働くと考えます。
例えば、女性活躍、一億総活躍(高齢者対策)、地方創生、省エネルギー・再生エネルギーへの取組などが考えられるでしょう。

中国現地法人の総経理として派遣されていた方の死亡について、労災保険給付の不支給決定の取消が認められなかった事例が判例雑誌に紹介されていました。

中央労働基準監督署長事件(H27.8.28 東京地裁判決、労働経済判例速報67巻5号 通算2265号 pp3-16)

労災保険は本来、日本国内に所在する事業に関し、業務上又は通勤による負傷、疾病、障害、死亡等に対して保険給付を行う制度です。
従って、日本国内で事業を行う事業主が、海外において行われる事業に従事させるために労働者を派遣する場合、その派遣された労働者は、本来的には派遣先国の諸制度によって保護されるべきところですが、必ずしも当該国で日本の労災保険のような制度が整備されているとは限りません。
そこで、労災保険制度では、海外の事業に従事するために派遣される労働者について、事業主が申請し、国が承認することで特別に労災保険に加入を認めるという、特別加入制度を設けています。

もっとも、日本国内の事業に従事する者が、海外出張中に事故に遭った場合は、特別加入制度の適用をするのではなく、本来の労災保険制度によって救済されることとなっています。

今回の事例では、死亡した方に関して特別加入手続きをしていませんでした。国内事業に従事する「海外出張者」であれば、手続をしていなくても保険給付されますが、海外の事業に従事する「海外派遣者」であれば、特別加入が国によって承認されていないと、労災保険から保険給付を受けることができません。死亡された方が、「海外出張者」か「海外派遣者」かのいずれに該当するかが争われたのが今回の事例です。

裁判所は、その判断枠組みとして、次のように判示しました。

期間の長短や海外での就労に当たって事業主との間で勤務関係がどのように処理されたかによるのではなく、当該労働者の従事する労働の内容やこれについての指揮命令関係等当該労働者の国外での勤務実態を踏まえ、いかなる労働関係にあるかによって総合的に判断すべきである。(p14)

そして、今回の事例について
  1. 現地法人が、場所的に本社から独立して存在していること
  2. 現地法人の法的地位ないし権能、活動の実態が、独立した事業場として評価するに値すること
  3. 現地法人での、死亡した者の地位、業務内容が、現地法人の業務に従事していたといえること
の主に3つを検討しています。

1については、現地法人が中国に所在するため、場所的に独立していることは明白です。2については現地での活動拠点としての実態を有しており、決裁権限に内部的な制約はあったようですが、これは国内の独立した事業所でも同様であるので、独立性を否定しないと判断しています。3についても、死亡された方は、中国国内の営業活動や物流管理業務に従事しており、本社が勤怠管理し、賃金を支払っていた事情はあるものの、それをもって現地法人の業務に従事していたことを否定する事情とはならないとしました。

労働者を海外へ派遣する、長期出張させるといった場合、特別加入申請の必要性の判断について、今回の事例が参考になると思います。近年、中小企業も積極的に海外へ進出していますが、特別加入制度の手続きに遺漏がないよう、ご注意頂く必要があるでしょう。

なお、海外派遣者に係る特別加入については、海外の事業に労働者として従事する場合だけでなく、中小規模の事業であれば「役員」として従事する場合も申請が可能です。
詳しくは、厚生労働省のパンフレットをご覧ください。






『なぜ、ビジネス書は間違うのか ハロー効果と言う妄想』

非常に興味深い書籍でした。私が拙い評価をするよりも、本書のごく一部を引用した方が、良さがよく伝わると思います。経営を真面目に学びたい方にぴったりです。是非お手に取ってみてください。

ハロー効果とは、企業の全体的な業績を見て、それをもとにその企業の文化やリーダーシップや価値観などを評価する傾向のことである。一般に企業パフォーマンスを決定づける要因だといわれている多くの事柄は、たんに業績から跡付けた理由にすぎない。(p2)

どうすれば成功するのかという疑問の答えは簡単だ。これさえすれば成功するというものなどない、少なくとも、どんなときにも効果があることなどない(p244)

企業の成功は相対的なものであること、競争で優位に立つには、慎重に計算したうえでリスクを負わなくてはならないことを理解するべきだ。(p244)

企業の成功には運が大きな働きをすることを認めよう。成功した企業は「たんに運がよい」のではないし、好業績は成り行きしだいというわけではないが、それでも成功には幸運がものをいい、ときには明暗を大きく分けるのである。(p245)

おそれずにリスクを負うことも必要であり、それは腰の引けた者にはできない。その勇気を奮い立たせるのが恐怖心である。(p255)