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2015年11月アーカイブ
平成24年に改正された労働契約法で、有期契約労働者の契約が更新され続けた場合、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換するルールが創設されました(施行は平成25年4月1日)。


施行から2年半が経過して、5年での無期転換権発生まで、折り返し点を過ぎたとも言えます。改めて、無期転換ルールの原則と、その後に制定された無期転換ルールの例外についてまとめてみました。

1 無期転換ルールの原則(労働契約法18条)
有期雇用契約を二回以上更新し、通算して5年を超えて契約更新に至ったとき、その労働者が無期雇用契約の申込をした場合は、使用者はその申し込みを承諾したものとみなし、期間が無期限の雇用契約に変わります。契約期間以外の労働条件については、特に定めをした場合を除き、従前の契約内容と同様となるとしています。

つまり、労働者が申し込みをしないと無期転換は生じない(有期契約のまま)し、契約期間以外の労働条件は、原則として従前と同様となります。

なお、労働契約期間の通算において、6ヵ月以上の空白期間がある場合は、それ以前の期間は通算されず、ゼロにリセットされます。

2 大学教員、研究者の例外

研究開発力強化法は15条の2、任期法は7条に、それぞれ労働契約法の例外規定を設けています。例外の対象者は次の通りです。

  1. 研究者や研究開発の運営管理者として、大学等や研究開発法人との間で有期雇用契約を締結する者
  2. 大学等や研究開発法人などと共同研究を行う法人と有期雇用契約を締結する研究者や運営管理者
  3. 任期法の適用のある大学教員等
これらの者については、無期転換権発生時期を5年ではなく10年とする例外規定が設けられています。また通算する雇用契約期間には、学生時代の雇用契約、例えばTA業務は算入されません。

大学等、研究開発法人、試験研究機関等の範囲については、こちらのリーフレットをご確認ください。

3 専門技術者の例外

高収入(所定内賃金で年収1075万円以上)かつ、高度専門技術を持つ者(博士号取得者、公認会計士、ITストラジスト他)が特定のプロジェクト業務に就く場合、無期転換権発生時期を5年ではなく、プロジェクトの終了時期(10年を限度)とする例外規定が設けられています。

対象者の要件の詳細は、こちらのリーフレットの6頁をご覧ください。

また、特例が認められるためには、プロジェクトの内容、対象者、プロジェクトの期間、講じる雇用管理措置を記載した計画の届出と認定を受ける必要があります。計画に関する詳細は、こちらのリーフレットの14頁をご覧ください。

4 定年退職者の例外

定年に達した後、引き続き雇用される期間は、無期転換権が発生しないという例外規定が設けられています。
雇用主は、定年前の雇用主に加えて、親会社、子会社、兄弟会社等でも構いません。
なお、定年到達者を対象にしていますので、例えば定年年齢後に雇用した者については、この規定は適用されません。

3の専門職の例外と同様に、計画の届出と認定が必要で、講じる雇用管理措置と、高年齢者雇用安定法9条による65歳までの雇用確保措置の内容を記載する必要があります。計画に関する詳細は、こちらのリーフレットの15頁をご覧ください。


以上が、無期転換ルールの原則と例外です。簡単にまとめると次のようになります。

原則:5年で無期転換権が発生する。権利行使は労働者の意向次第
例外:研究者・大学教員・高度専門職は5年を、10年を限度に緩和、定年退職者は再雇用期間中の無期転換権はない。


【追記】(2017.5.6)
4 定年退職者の例外について、具体的な手続きの説明を、別の記事で詳しく書いています。よろしければこちらも参考にしてください。

事故調査のための口述聴取法

今年の9月に刊行された書籍です。書名の通り、事故調査の際に口述で情報収集する方法が書かれています。著者は航空自衛隊の自衛官で、航空事故の調査を専門にしています。ただ、著者も指摘しているように航空事故に限らず、事故調査一般に適用できる点も多いようです。

事故調査という目的ですので、責任追及のための情報収集というよりも、真実を究明するために何をすべきかという立場で、説明が展開されています。

私の仕事に引き付けてみると、例えば何らかの事象が生じて、それについて行為者の懲戒処分を行うかどうかの調査となると、どうしても責任追及という目的がついて回ります。その点を考慮しながら読み進めましたが、それでも色々参考になりました。

さらに私の場合は、事故というよりは、事件、何らかのトラブルでの調査をすることの方が多いのですが、そういった調査でも参考にできる部分が多いのではないかと感じた次第です。

特に、ヒトの「記憶」に関して詳細に記述されている点や、「回答の確信度と事実の確かさは関係がない」(p104)という指摘は、説得力があると感じました。文章も読みやすく、2-3時間程度で読み終わりました。
社会保険新報/平成27年11月号に資格取得届に記載する住所についての記事が掲載されていました。


日本年金機構では、新たに基礎年金番号を付番する際、住民基本台帳ネットワークを通じて、住民票コードを収録しているそうです。そのため、原則として、取得届の住所欄には住民票上の住所を記載するよう要請しています。

単身赴任の場合等、実際に住んでいる場所と住民票上の住所が異なることがありますが、その場合に実際に住んでいる場所しか記載がないと、事務に支障を来すようですね。

但し、次の2点にいずれも該当する場合は、「住所欄には実際に住んでいる場所」、「備考欄に住民票の住所」を記載するよう併せて要請していますので、注意が必要です。

  1. 基礎年金番号を空欄にして届出する場合
  2. 実際に住んでいる場所が、住民票上の住所と異なる場合
当事務所で、社会保険事務手続きを委託頂いている事業主様におかれましては、基礎年金番号が不明な場合や、番号をお持ちでない場合には、住民票上の住所をお尋ねすることがあると思います。その際はご協力頂きたくお願い申し上げます。
日本経団連が、「健康経営」に関して会員企業に行った調査結果が公表されています。今年の事業方針に「健康経営」の普及・啓発を挙げているようで、まずは現状を把握したということなのでしょうか。

以下にその概要と、私なりのコメントをしてみたいと思います。

1 健康経営に取り組む目的
調査結果の一番初めに、目的について尋ねた項目がありました。企業イメージの向上といった漠然とした目的よりも、業務効率・生産性向上や経営リスク(安全配慮義務違反、不法行為)の回避のような、直接的な目的を挙げている企業が多いようです。

生産性向上という点で気づいた点は、労働災害においては強度率などの労働災害による労働損失日数という概念があることです。それを私傷病にまで拡張した概念ということもできるのかな、、と感じました。労働者が健康障害で欠勤をすれば、稼働日数が少なくなり、生産性が高まらないという視点です。

2 健康経営の評価指標
高い順に、定期健診の受診率、総労働時間、定期健診の有所見率、労働者の健康状態の改善率となっています。

総労働時間を意識しているのは、1の経営リスクとの兼ね合いもあるのだろうなと思います。長時間労働によって健康障害が発生した場合、企業の責任が問われることが多いからです。
また、健康状態の改善率については、確かに評価指標になると言えますが、行き過ぎると問題が生じるかもしれないと感じました。例えば、肥満であれば昇格させないといったことに、繋がらないとは言い切れないのでは?と感じた次第です。

3 今後との課題
健康経営に取り組むうえでの課題としては、トップに労働者の関心、その後に取組推進体制・人員・予算・情報収集といった項目が続いています。

取組体制を整え、予算と人員を確保して、情報収集をしっかりしたうえで、労働者へ働きかけを行い、関心を高めてもらうということでしょうか。

以上、色々と感想を述べてきましたが、働く人たちが健康であれば、労使ともにメリットがあるという話は確かにその通りだと思います。
それを考えると、お互いが協力して進められるようになれば、一番よいのかなと思いました。
一人一人の健康が確保されることで、そこで働く人たちの幸福が少しでも高まればよいなあと感じだ次第です。


障害者差別解消法が平成28年4月から施行されます。
内閣府のWebサイトには、この法律の立法趣旨が次のように述べられています。

国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)が制定されました(施行は一部の附則を除き平成28年4月1日)。

国連の条約締結に向けた法整備の一環で、障害者差別解消の推進を目的とする法律のようです。

なぜこれをブログで取り上げたのかというと、厚生労働省のWebサイトにこの法律の対応指針が紹介されていて、その中に社会保険労務士業向けの対応指針(PDF)があったからです。
社会保険労務士業を営むにあたり、役務の提供を受ける方(=依頼者)に対して留意すべきことが書かれています。この内容は他の業務でも一般的に当てはまる部分が多くあるように思います。同業者に限らず、目を通してみると参考になる点があるように感じました。そこで簡単ではありますが、その内容をご紹介しようと思います。

対応指針の中には、不当な差別的取扱いの禁止と、合理的配慮について詳しく説明されています。

1)不当な差別的取扱い
 「正当な理由がなく」、「障害を理由として」、役務の提供を拒否したり、役務提供の時間・場所等を制限したり、条件を付すことを禁じています。
正当な理由と言えるかどうかは、「客観的」に判断できるものでなければならないとしています。つまり、主観的な理由ではなく、第三者から見ても納得できる具体的な理由が必要ということです。

2)合理的配慮
 障害者から社会的障壁の除去についての要請を受けた場合に、障害がない者と同等の役務が受けられるように、本来業務に付随して行う配慮のことで、その負担が加重でないものを合理的配慮というようです。

そして、不当な差別的取扱い、合理的配慮の具体例も記載されています。
合理的な配慮の例として、セミナーで手話通訳者を用意するというものがありました。最初にこの事例に触れたときには、これは費用負担が過重なのではないのかな、、、と思い、費用を調べてみたところ、ある団体では2時間で1万円程度でした。これくらいの負担なら、私だったら過重とは感じませんでしたが、これを読んでいる皆様はどう感じられるでしょうか?

具体例についての解釈は、絶対的なものではなく、状況によってその解釈が変わるようです。それぞれどういう場合に不当な差別になるのか、合理的配慮を超えた過重な負担になるのか、考えてみるのもよいと思いました。