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2011年3月アーカイブ

確率や統計には全く疎く、一部数式などの理解はできなかったのですが、大変興味深く読み進めることができました。

大数の法則などに代表される統計的処理では、ある特定の集団に起こる特定の出来事について、それが出現する確率を予測でき、その結果リスクを適切に管理することができるとされています。一見すると人間が偶然を支配できるかのように考えることもできます。

しかしながら、大きな数を取り扱う場合の傾向をつかむことはできても、自分がある特定の出来事(良いことも悪いことも)に遭遇しない保証はなく、偶然という現象から逃れることはできないと著者は言います。そして、そのような偶然を逃れる術のない、仕方のないものとして捉えるだけでなく、偶然とは何かを学び、生きていくに当って積極的に偶然というものに向き合うことの重要性が語られています。

例えば、不幸にも悲しい出来事に遭遇した人がいる場合、周囲が慰めることで起こる出来事は避けることができなくても、その人の不幸を少しでも他の人が背負って、苦しみを和らげてあげるといったことができるのではないかと説明しています。

また、破滅的な出来事(例えば原発事故)は、決して起こってはいけないものなので、発生する確率を計算して万が一に備えることには意味がなく、確率の乗法法則と呼ばれる手法で、発生する確率をそれが無視できる程度にまで、限りなくゼロにする必要があると説きます。

確率や統計といったものは、とかく冷徹な領域の学問であるという印象を持っていましたが、この本はそうではなく人間が生きるために必要な考え方を提示してくれたように感じました。とても温かみを感じる不思議な読後感を味わっています。

<読書データ>
著者:竹内 啓
出版社:岩波新書(新赤版)

朝日新聞Webサイトより

雇用の流動化や就職難から、パートの主婦に加え、最近は若い世代にも非正規労働者が急増している。本来は自営業者を対象にした国民年金加入者のうち、今では雇用されている労働者が4割を占める。そこで将来の不安を減らすためにも、老後に受け取る年金額が比較的多い厚生年金への加入を促す狙いがある。

パートタイマーが健康保険・厚生年金に加入するためには、所定労働日数および所定労働時間が正規従業員の4分の3以上を満たすことが必要です。
菅政権は、これを満たすことのできない労働者が増えてきているとの認識の下、加入要件の緩和を検討するようです。

加入要件の緩和自体について、私の立場はニュートラルですが、要件緩和を行うに当っては検討すべきことは多いものと思われます。

現状では一部の個人事業所について、健保・厚生年金の適用事業所から除外されていますが、組織形態が法人か個人かで保険の適否が分かれる点は、併せて検討されてもよいように思います。

また、加入要件を緩和する範囲をどこまで拡げるのかについても、検討が必要です。仮に雇用保険と同様に、週あたり労働時間が20時間以上の場合にまで適用を拡げた場合、時給1000円のパートタイマーのケースを考えると、月収が
1000円×20時間×30÷7=85,714円
となる人にまで適用範囲が拡がることとなり、これは厚労省通達で定める健康保険の被扶養者の範囲である年収130万円未満の方々が該当する水準です。
(ちなみに、この水準は今話題になっている国民年金の第3号被保険者の基準もこれと同様です。また、所得税の扶養家族の要件である103万円未満という水準にもあてはまります。)

いささかこの議論が唐突に持ち出された点は、大変気になるところです。いま掲げた論点以外にも、色々と検討することはあるでしょう。

非正規労働者の加入要件緩和は、この記事にもある通り、数年前に自公政権が法案を上程しましたが、廃案になった経緯もあるようです。
当時の状況については勉強不足でよく分からないですが、慎重にかつ、時間をかけて取り組むべきと思われるこの課題を、どのように検討していくのでしょうか。
残された時間が少ない中での、菅政権の今後の取組に注視する必要があるように思います。