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これまでは、25年間保険料を納付した実績(これを資格期間ということにします)がないと老齢基礎年金を受け取れませんでしたが、平成29年8月より資格期間が10年に短縮されることになりました(※)。

昨年の臨時国会で法律が成立し、平成29年8月から新しい制度での支給が始まります。

10年に短縮されるにあたり、日本年金機構で準備を進めているようで、2月14日には以下のような記事が掲載されました。


その記事によると、男性は昭和30年8月1日以前、女性は昭和32年8月1日以前生まれの方で、資格期間が10年以上25年未満の方を対象に、順次手続きに必要な書類が郵送されるようです。
書類が届き次第、手続きをされることをお勧めします。

これまで、中高齢者を雇用する際、年金加入期間が短いため、厚生年金に入りたくないという方がいらっしゃいましたが、そのようなことも少なくなるのではないでしょうか。
最後には納得していただくのですが、老齢年金をもらえないのに保険料を納めることに抵抗を感じている方を説得する(例えば、障害年金の話をする)のは大変でした。

その点では、私にとってもありがたい法改正だと思っています。


※資格期間には、国民年金保険料だけでなく、厚生年金、共済年金の保険料納付済期間を含みます。また、納付済期間だけでなく、保険料免除期間や合算対象期間(いわゆるカラ期間)も合算されます。


36協定の締結に際し、労働組合のない事業所の場合は、労働者代表を選出する必要があります。ところが誰も代表者を引き受けてくれず、困るという状況になることがあります。
残業をさせないようにすることも一つの方法ですが、これまで一定の残業をしてきた職場で急に残業をやめることも難しいでしょう。
このような場合にどのように対応すればよいのか、以下のケースを例に挙げて考えてみたいと思います。

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山崎さんは、100名の従業員が在籍する雑貨販売会社A社で総務・人事業務を担当しています。
本社は横浜にあり、関東一円に複数の店舗を展開しています。
こだわりの商品構成が固定ファンを引き付け、業績も好調です。

A社では決算日に合わせて時間外労働・休日労働に関する協定(以下、36協定といいます)の更新を行っており、今年も決算日まで2ヵ月を残すところとなりました。そこで、山崎さんは各店舗に36協定の更新手続きを依頼しましたが、二週間後に横須賀店の店長から次のような相談を受けました。

これまで横須賀店では、店舗のリーダー格である内川さんがいつも立候補して労働者代表に選出されてきましたが、4か月前にライバル店に引き抜かれて退職し、店舗のリーダーが不在という状態が続いていました。そんな中で労働者代表を選出を依頼を受けたのですが、従業員の話し合いで代表者が決まらず困っているとのことでした。そして仕方ないので、自分が立候補して、メンバーに認めてもらうつもりだが、どう思うか?というものでした。

内川さんがいれば何の問題もなかったのですが、彼はもういません。山崎さんはどのように対応すればよいのでしょうか?

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36協定を締結する際の労働者側の当事者は、労働組合員が過半数在籍している事業所であればその組合となりますが、そうでない事業所の場合は、事業所の全労働者の過半数を代表する者を選出する必要があります。その際に留意しなければならない点としては、次の二つが考えられます。

1 時間外、休日労働に関する労基法の規制の適用を除外されている管理職に該当する者は、労働者代表になれないこと
2 36協定を締結するための過半数代表者だという説明をしたうえで、挙手や投票などの民主的な手続きで選出すること

今回の場合、店長は1に該当する可能性が高いと思います。1に該当するかどうかは、(ア)重要な職務を担い、経営者と一体となって関わっていること(例えば新規採用の決定権がある)、(イ)自由に勤務時間・勤務日を決定できること、(ウ)管理職にふさわしい高い賃金を受けていること等の要素を総合的に考慮して決定することになります。
横須賀店の店長がパートの採用に関して権限があり、他の正社員と比べて高い賃金を受けているようなら、これらの要素のうち2つを満たすことになるでしょう。
そうすると、店長は1の管理職に該当する可能性が高いと言え、労働者代表になることはできない可能性が高くなります。店長が労働者代表に立候補しようとすることは止める必要があります。

2に関して、誰も労働者代表になりたがらない場合、会社や店長が特定の誰かを指名してもよいのでしょうか?
会社が代表者を指名することはできません。そのような方法で締結された36協定は無効となります。

この場合、代表者候補をクジ引きで選出して、選出された候補者について多数決で決める方法を採らざるを得ないと思います。この選出プロセスを全労働者に説明し、賛成してもらったうえで手続きを進めるとよいでしょう。

クジ引きであれば、会社の恣意は入り込みません(※)し、そのような選出方法自体も労働者の賛成を得ているのであれば、問題はないのではないかと思います。
会社が候補者を擁立して過半数労働者の賛成を得る方法や、従業員に誰かを推薦するように働きかける方法もあると思います(この場合、候補者の擁立や推薦の働きかけ以上のことを、会社が行わないようにすることが、非常に重要です。)が、それ以上に会社の恣意が入り込まない方法がクジ引き方式だと思います。
選出された代表者候補の信任投票を実施し、過半数労働者の賛成を得て、代表者として選任すればよいでしょう。

ところで、会社の親睦会組織の代表者を自動的に選出するという方法を採用している会社も見られますが、これも禁止されています。
二つの組織の代表者となること自体は禁止されていませんので、36協定の労働者代表になる場合は改めて過半数労働者の賛成を得て選出するようにしてください。(了)

※NHK大河ドラマ『真田丸』の真田昌幸のようにクジに細工はしないでください(笑)。クジである以上、誰の恣意も入らないようにすることが大切です。
厚生労働省は、平成29年1月20日に労働時間の把握に関する新しいガイドラインを公表しました。


以前は、労働時間の適正な把握に関しては、通達(リンク先のサイトは労働政策研究・研修機構)が発出されており、労基署ではこれに従って行政指導が行われていたのですが、今後はこのガイドラインに沿った指導となるのでしょう。

以前の通達と比べると、ガイドラインではより多くの内容が書き込まれています。
今回のブログで両者を比較して、新たに使用者に求められる内容を確認したいと思います。

1 「労働時間の考え方」の項を新設
ガイドラインの「3 労働時間の考え方」という項が新たに設けられました。労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことであり、使用者の明示又は黙示の指示によって業務に従事する時間は労働時間に該当することが記載されています。

2 自己申告制による労働時間管理
労働時間管理は、原則として使用者の現認による記録や、タイムカード等の客観的な記録によることが原則で、自己申告制による記録は例外である点は、従来と変わりません。
例外である自己申告制に関して、講ずべき措置の内容がより増大しました。増えた内容は以下の通りです。

  • 適正な労働時間の把握に関して、労働者だけでなく、労働時間を管理する管理職への説明を行うこと
  • 自己申告した労働時間と入退場記録・パソコンの記録といった、事業場にいた時間に著しい乖離がある場合は、実態調査を行い、労働時間の補正を行うこと
  • 自己申告した時間を超えて事業場にいた時間について、その理由の報告を求める場合、適正な申告が行われているか確認すること
  • 36協定の上限時間を超えて労働した場合に、記録上これを守っているようにするといった慣例がないか確認すること
3 賃金台帳の適正な調製
労基法108条、同法施行規則54条により義務づけられていることですが、賃金台帳に労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければならない旨が新たに明記されました。

4 労働時間の記録に関する書類の保存
労基法109条による書類の保存義務について、出勤簿とタイムカードも適用される旨が明記されました。
参考)労基法109条
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。

以上が、ガイドラインで新たに盛り込まれた内容です。

以前の通達が出された平成13年以降、新たに労働時間管理の問題として懸念された事項が、幅広く盛り込まれたように思います。
つまり、これを読んでその通りに管理すれば、多くの問題は生じないという内容のガイドラインといえるでしょう。

私も今後はこのガイドラインを基に、労働時間管理に関する助言をしていきたいと思います。


2017年1月の社会保険新報を読んでいたら、賞与支払届に関する記事が掲載されていました。


記事の一番下に、留意事項として次のような記載がありました。これは少しややこしい話なので、説明を加えてみようと思います。

資格喪失月に賞与が支払われた場合は、保険料の対象にはなりませんが、資格喪失日の前日までに支払われた賞与は、健康保険の年度累計の対象となるため、「賞与支払届」の提出が必要となります。

退職者は退職日の翌日に資格喪失しますが、資格喪失した日の属する月に退職者へ賞与を支払った場合、保険料の徴収および納付は不要です。一方、喪失日の属する月の前月までに賞与を支払った場合は、保険料の徴収および納付義務が生じます。

つまり、退職日が月末日(例えば12月31日)であれば、資格喪失日(1月1日)の属する月の前月が12月になるため、12月中に支払った賞与から保険料を徴収納付をする必要がありますが、月末日以外の日(例えば12月30日)に退職する場合は、資格喪失日が31日となり、その日の属する月の前月は11月になります。すると、12月中に支払った賞与から保険料を徴収し、納付する義務は生じません。

保険料を前月分まで徴収するという規定は、健康保険法第156条3項に規定されています。

前二項の規定にかかわらず、前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、その月分の保険料は、算定しない。

月例給与に関する保険料も同様なのですが、基本的に(1)資格喪失日の属する月の分の社会保険料(健保・介護・厚生年金)は徴収・納付する必要がないことと、(2)資格喪失日が退職日の翌日である点を理解していれば、事務を誤ることはないと思います。ぜひご参考にしてください。

ところで、社会保険新報の記載の通り、資格喪失月の保険料徴収・納付が不要であっても、賞与支払届の提出は必要です。これは賞与に関する健康保険料の上限が、一年間に支払われた賞与金額の累計で設定されているためです。転職後も同じ保険者(保険運営者のこと)の健康保険に加入する場合、所属していた事業場が異なる場合でも累計の対象となるため、届出が必要となるのです。
この場合の累計する期間は、毎年4月1日から翌年3月31日までです。これも覚えておくとよいでしょう。





厚生労働省が、労働保険適用事業所を検索できるサイトの運用を始めました。


まず調べたい事業所が所在する都道府県を選択し、事業所名・法人番号・所在地のいずれか一つ以上の情報を入力して検索することができます。検索ワードは完全に一致していなくても、一部分が一致していれば、その条件に合った結果が出力されます。

例えば私の事務所の場合、「久保事務所」「千代田区岩本町3-3」であっても、検索することができました。

就職活動をしている方、新しい取引先を探している方、あるいは企業買収を考えている方が、相手の労働保険加入状況を知ることができるため、便利なサービスなのかもしれません。